「血虚」は体のさまざまな部位に栄養を行き渡らせる「血」が不足した体質です。肌荒れや抜け毛、爪がかけたり、こむらがえりといった不調が起こりがちで、集中力の低下や不安感が増すなど、精神的にも不安定になりやすくなります。
女性は生理があるため、男性よりも血虚になりやすいといわれています。また、血虚の状態が慢性化すると、妊娠しにくくなる可能性があるので要注意です。
食事の偏りや無理なダイエット、寝不足や過労は、血が不足する大きな要因となるので、注意しましょう。
※なつめやプルーンを紅茶に加えるのも血虚解消には効果的です。お茶に浸した実もいっしょに食べましょう。
血虚は「血」が不足していると考えられるため、食養生では血を補う食材を積極的にとりましょう。中国では、烏骨鶏(うこっけい)という鶏が、内臓に栄養を補給して血虚を改善する食材として重用されています。日本ではあまりなじみがありませんが、専門店では購入することができます。烏骨鶏の名は、骨、皮膚、肉にいたるまで烏(からす)のように黒いことからついたといいます。
烏骨鶏の黒にも共通しますが、血虚に効く食材には、黒や赤い色のものが多く見られます。レバー、黒豆、黒ごま、黒きくらげ、黒砂糖、黒米、トマト、くこの実などです。中国では、昔から黒いものや赤いものは身体によいとされてきました。ミネラルやポリフェノールを多く含み、造血作用や体温を上げる効果があるといわれ、「血」不足で冷え性の血虚タイプにはぴったりなのです。
消化機能が弱い「気虚」は、胃腸から栄養を十分に補充できずに貧血になり、血虚になることがよくあります。気虚と血虚の両方がある体質を「気血両虚」といい、気虚と血虚は仲間のような間柄です。
そこで血虚の食養生の注意点も、気虚とほぼ同じです。冷たいもの、生もの、脂っぽいものを控えめにし、「平性」「温性」の消化のよいものを食べるようにしましょう。
また甘すぎるものや、辛すぎるものは避け、なつめ、ブルーベリー、プルーン、レーズンなどの自然の甘みや酸味のある食材を常備して楽しむとよいでしょう。
●冷たいもの、生もの、脂っぽいものおよび、甘いものは取りすぎないように注意しましょう。
●刺激の強い食材(唐辛子、わさび、コショウ、山椒)は、なるべく控えましょう。
●チョコレート、バナナは、なるべく避けましょう。
●気になる不調を自分で手軽にケアする方法として、おすすめなのが『ツボ』(経穴)です。
数千年の歴史を持つ中医学(東洋医学)の治療法です。
WHO(世界保健機関)の主導でツボの名称統一を行うなど、最近は世界的にも関心が高まっている治療法です。
「お茶で一服する」「トイレに立つ」といったタイミングでツボを押すことを、ぜひ習慣化しましよう。その場で不調を解消できるだけでなく、病気への抵抗力や免疫力を日々、高めていくことが可能です。
血を補い、血行もよくなります。
血虚は体のさまざまな部位に栄養を行き渡らせる「血」が不足した体質です。肌荒れや抜け毛、爪がかけたり、こむらがえりといった不調が起こりがちで、集中力の低下や不安感が増すなど、精神的にも不安定になりやすくなります。
女性は生理があるため、男性よりも血虚になりやすいといわれています。また、血虚の状態が慢性化すると、妊娠しにくくなる可能性があるので要注意です。
食事の偏りや無理なダイエット、寝不足や過労は、血が不足する大きな要因となるので、注意しましょう。
●世界の伝統医学の中でも、最も理論体系が整い、豊富な治療手段を備え、長い経験の蓄積があり、実用性の高いのが中医学(東洋医学)です。
この医学は病気の治療ばかりでなく、養生思想も内容が豊かで、病気の予防や健康増進にも活用できます。
その大きな特徴は、一人一人に合わせたやさしい眼差しで、各個人の体質を見極め、体質や体調に合った養生や生活改善を提案することです。
血虚になる原因の多くは、無理なダイエットや、朝食抜き、夜更かしなどの不規則な生活です。
体質改善の第一歩は、無理なダイエットをやめること、朝食をしっかりとることから始めます。
血は、夜眠っているときに生成されるので、睡眠はとても重要です。夜更かしをすると、それだけで血が消耗されて、ますます血の不足が進んでしまうことになります。遅くとも12時までにはベッドに入る努力をしましょう。
また、頭を使う作業も血を消耗するうえ、このタイプはちょっとしたきっかけで不眠になりがちなので、夜寝る前にパソコンに向かったり、仕事の書類に目を通すのは禁物です。
就寝前の1~2時間は、できるだけリラックスした時間を過ごすようにしましょう。
血虚タイプは骨が弱い人が多いので、激しい運動をすると、けがをするおそれがあります。
●日本で生まれた新しい漢方薬
漢方薬の大部分は中国で創出されたものです。ただし、日本では、日本人の特性に応じた生薬の独自の組み合わせが考案され、新しい日本式漢方薬も作り出されています。
七物降下湯もその1つで、日本の漢方の名医、大塚敬節氏が、自身の高血圧を治すために開発した処方です。大塚氏が52歳のとき、高血圧で眼底出血を発症し、出血を治すため四物湯を服用しましたが、地黄が胃にもたれるため、黄柏を加味。さらに脳血管のけいれんの予防効果がある釣藤鈎、毛細血管の拡大効果がある黄蓍を加えて服用したところ、1週間ほどで血圧が正常に回復しました。さらに検証を重ねた後、この7種の生薬が高血圧を改善することを確認し、七物降下湯として発表したのです。