ツムラ 三黄瀉心湯 エキス顆粒（医療用）の食養生 ツボ 生活改善等

●実証の血証に効く三黄瀉心湯
三黄瀉心湯は実証の血証に効く処方です。漢方でいう実証とは、体質的に丈夫で、体力が充実している人を指します。血証とは、漢方用語で血が原因でさまざまな症状や病が起こっていることをいいます。つまり、三黄瀉心湯は、第1に体が丈夫で体力の充実している人に向く薬であり、第2に、血にかかわる諸症状(出血、充血、貧血、喀血、吐血、うっ血など)に用いられる薬なのです。
例えば、体格ががっちりしていて体力的にも自信があるのに、気分がイライラし、のぼせ気味で赤ら顔、便秘傾向という人は、暑がりであることが多く、首から上を中心に体が熱くほてっています。このような場合は、体を冷やして気の上衝を鎮め、血の気を下降させることが必要です。「便秘傾向」というのは、便通はあっても、その時間帯が一定していないことで、高血圧症や動脈硬化症の人に多いとされています。
三黄瀉心湯を構成する3つの「黄」は、いずれも熱や炎症を鎮める生薬で、中でも大黄には便通をよくする作用、黄連と黄ゴンには下痢（泄瀉）を止める作用があります。この3薬の作用により、外傷の出血はもとより、脳出血、呼吸器系や消化器系からの出血を止めるのに応用されます。
●改善後は服用をやめるつなぎ薬
血圧が高かったために、1日3食ごとの便通を目指して、三黄瀉心湯を一生服用し続けたという人もいます。しかし、それは例外で、一般的には、症状が治ったら服用をやめてよい薬です。なぜなら、「瀉」がつく薬は有害な毒を取り去ると同時に、生命にとって大切なエネルギーまでも排出してしまうおそれがあるからです。
のぼせて鼻血を出していた人、イライラして精神が不安定だった人などが、服用していると調子がよいということで、長い間続けてしまうことがあります。すると今度は、かえって体が冷えてしまい、エネルギーを奪われ、元気が失せて、顔色が悪くなってしまうのです。三黄瀉心湯で症状の改善が認められたら、とりあえず服用をやめ、症状の根本的な原因を突き止め、今度はその症状が起こらない体質改善のための漢方薬に変えることがとても大切です。
ただし、慢性の高血圧症で、降圧剤を服用すると調子が悪い、または降圧剤は服用したくないという人には、三黄瀉心湯の常用が合う場合も多くあります。

●大けがのときの止血即効薬
大病院の脳外科には、交通事故などで頭部を強打し、頭部に出血のある意識不明の患者が運び込まれてくることがあります。頭部の出血は、外部出血だけでなく、内部の出血もすぐに止めなければなりません。そこで、頭蓋骨を開くという大手術が行われます。
そんなとき、頭蓋骨の内部では、大きな血管からの出血以外に、毛細血管があちこちで破れた細かくてジワジワとにじみ出る出血が起こっています。この血が止められないと頭蓋骨の手術は終わりません。
そこで、三黄瀉心湯が使われるのです。
患者は意識が不明のため、薬を口から服用させることができません。浣腸のように、肛門から三黄瀉心湯の振り出し薬を注入します。すると、注入が終わって体内に吸収されたと思った瞬間、ジワジワと出ていた血液が止まっていくことがあるそうです。三黄瀉心湯を使った手術の模様は、実際に8ミリビデオに残されており、止血に対する即効力が医学的にも認められています。

【三黄瀉心湯類似処方の紹介】…次の方剤は、使用目的が三黄瀉心湯に比較的近い方剤です。あなたの症状とともに、比較検討してください。

黄連解毒湯   …体力中等度以上の人で、本方に似ているが、湿熱が三焦に停留して尿不利があって便秘の傾向のない場合に用いる。

桃核承気湯   …比較的体力のある人で、のぼせぎみで便秘の傾向があり、下腹部に自発痛、抵抗・圧痛があり、女性ではさらに月経不順、月経困難などを伴う場合に用いる。瘀血、少腹急結の腹証。

柴胡加竜骨牡蛎湯   …比較的体力のある人で、頭痛、不安、不眠などの精神神経症状を訴え、季肋部の抵抗・圧痛胸脇苦満と臍傍部の腹部大動脈の拍動亢進がある場合に用いる。肝気鬱結と煩驚。