出典書籍
西暦250年 三国時代 『傷寒論』 by校訂 六経によって急性熱病を識別し、治療する方法について説明している。→処方使用期間:1767年間
【適応症】水瀉性下痢(泄瀉)、むくみ、頭痛、暑気あたり、急性胃腸炎、浮腫、ネフローゼ、二日酔い、嘔吐、胃内停水、尿毒症、糖尿病、急性胃腸カタル、悪心、めまい、小児・乳児の下痢(泄瀉)、宿酔、黄疸、腎炎、膀胱カタル、日射病、胃下垂、乗り物酔い、腎盂炎、偏頭痛、三叉神経痛、陰嚢水腫、メニエール症候群、癲癇(水でんかん、流涎のあるもの)、胆石症、肝炎、涙嚢炎、結膜炎、羞明、ガングリオン。
【こんな時には】
●一般的には、口が渇き、尿量が少なく、吐き気や嘔吐、下痢、浮腫(むく)み、めまい、頭痛などのいわゆる水毒に適応され、歴代の漢方家によっても臨床例が多く報告されています。
●とくに漢方医学に馴染んでいなくても、「水毒」という概念は西洋医学的にも比較的共通する部分が多く、漢方医学に熟知していなくても比較的使用しやすい薬方です。
●副作用も、発疹、発赤、かゆみなどが報告されているほか、顕著な副作用は把握している範囲では存在しません。桂枝(ハーブのシナモンの枝)に対するアレルギーの有無に気を付ければ投与しやすい薬方と考えられます。経済的にも安価ですよ。
●小児のウイルス性の下痢・嘔吐症、天気の悪化(気圧の低下)に伴う頭痛・脳血管障害や脳腫瘍などによる脳浮腫に対しては、とくに漢方医学的な議論はしなくても、一定の処方設計のなかに積極的に取り入れてよいと強く示唆されます。
次の症状のいくつかある方は、五苓散が良く効く可能性が大きいです。
ノロウイルス(感染性胃腸炎)に対しては、ファーストチョイスとして五苓散が使用できますよ!。
特に風寒湿邪の侵襲によく適合し、速やかな効果を得ることができます。
嘔吐に関しては多くの場合1時間程度で消失することが多く、下痢も2時間程度で消失する場合が多いですね!。
板藍根は清熱解毒・涼血利咽の薬能を持つ生薬とされています。
清熱解毒とは、細菌やウィルスによる感染や炎症に伴う発熱、腫脹、疼痛などを抑える働き、涼血利咽とは、のぼせや発赤、紅斑、鼻血、充血などの症状やのどの症状を抑える働きを意味します。
したがって、細菌性の急な下痢のときやお腹を壊しやすい方に、とても良くききますよ!。
感染性胃腸炎では、細菌の産生する毒素またはウイルス感染により、小腸での水分の腸管内貯留に伴って起こる病態ですが、五苓散は近年、水透過蛋白であるアクアポリンを阻害することで、体内における急激な水分移動をコントロールすることができることが示されていますよ!。
感染性胃腸炎に対しても、この水透過性の調整作用が有効性の機序として想定されます。
脱水が進行し、循環障害をきたす状況は、漢方では気・陽・津液の消耗をきたした状況と考えられます。
西暦250年 三国時代 『傷寒論』 by校訂 六経によって急性熱病を識別し、治療する方法について説明している。→処方使用期間:1767年間
感染性胃腸炎による嘔吐・下痢止め
食前または食間に服用してください。
食間とは…食後2~3時間を指します。
五苓散には、猪苓をはじめ、利尿作用のある生薬がいろいろと配合されています。桂皮は軽い発散薬で、頭痛やめまいによいとされます。
重要な基本的注意
1.本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
2.他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。
【妊娠・授乳の注意】
●妊娠中毒症の浮腫(むくみ)の場合によく使用します。
●妊婦または妊娠の可能性のある人は、使用できない場合があります。