(remarks)
●声枯れの原因を突き止めよう
声が枯れる原因は、声帯(のどの中央部にある発声器官)の変形や、声帯を動かす筋肉の運動障害などです。声枯れは医学的には嗄声(させい)といい、その音質の違いにより、粗造性嗄声(がらがら声)、気息性嗄声(ささやき声に息もれが混じるような声)、努力性嗄声(無理に発声しているような声)、無力性嗄声(弱々しい声)の4タイプに分類されます。ただ、嗄声自体は病気ではなく、病気に付随する症状のひとつです。
嗄声をまねく原因は、かぜ症候群によるのどの炎症や腫れ(急性喉頭炎)、声帯の乱用に伴う良性咽喉頭疾患(咽頭ポリープ、仮声帯肥大、謡人結節)などがほとんどです。かぜをひきやすい人、アナウンサーや歌手など、職業的に頻繁に声を出さなければならない人、化学薬品を取り扱う人、喫煙者などは特に注意が必要ですが、その多くは声帯をしばらく休めたり、簡単な治療を受けたりすれば元の声に戻ります。
ただし、精神的ストレスや、声帯の筋肉の動きをつかさどる反回神経まひ、呼吸器疾患、心臓病、腎臓病、喉頭結核、甲状腺腫、甲状腺がん、喉頭がんといった重大な病気でも声枯れは現れるので、原因が思いつかない場合には十分な注意が必要です。まず、医師と相談して原因を突き止めたのち、漢方を用いるようにしてください。
●乾いた空気、たばこを避けよう
一方、カラオケがブームになって以来、声帯にポリープ(カラオケポリープ)ができる人が増えているといわれています。原因はもちろん、カラオケの歌い過ぎですが、乾いた空気や、たばこの煙が充満している室内環境も原因になっていると指摘する専門家もいます。したがって、カラオケは2曲程度歌ったら休息を入れるなどして、のどを休ませるように心がけてください。
同様に、のどをよく使う仕事についている人も、適度に休息を取り、のどの安静を保ってください。そのとき、水分補給を心がけ、加熱した声帯をクールダウンさせると、喉頭粘膜から粘液がよく分泌し、声帯を保護しやすくなります。補給する水分は白湯やぬるめのお茶などがよく、冷たすぎるものは逆にのどに刺激を与えてしまいます。のどの炎症止めにヨード系のうがい薬を用いる人もいるようですが、ヨードものどを痛める可能性があるので頻繁には使わない方がよいでしょう。
喫煙者は、なるべくたばこの量を減らしてください。また、冬場は室内の温度と湿度に気を配り、室温は20度前後、湿度は60%ぐらいを保つように心がけましょう。