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選定療養制度
先発医薬品とは、新たに開発された医薬品のことで、特許や独占販売期間が保護されています。
高度な研究開発によって生み出された革新的な医薬品であることが多いです。
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許や独占販売期間が切れた後に、他の製薬会社が同じ有効成分を持つ医薬品を製造・販売することができるようになったものです。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ基準で厚生労働省によって承認されており、安全性や効果に問題がないことが確認されています。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品よりも安価に提供されることが多く、患者や国家の医療費の負担を軽減する役割を果たしています。
はじめに
知らずに選ぶと「割り増し料金」が加算される!? 今月から始まる「選定療養制度」とは何か
阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者) によるストーリー
病院や薬局で支払う薬代に対して、令和6年10月から「選定療養」という新しい制度が始まります。
「選定療養」とは、先発医薬品の処方を希望する場合に、患者が特別な割り増し料金を支払わなければならないという決まりです。
「先発医薬品」と「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」に違いはあるのか
医薬品が発売されるときに、特許が有効な間は、その特許権者(通常はその薬を最初に見つけて研究開発した製造販売業者)か゛独占的に製造販売て゛きる権利を有します。これが「先発医薬品」です。特許期間が満了すると、その薬は国民の共有財産となるため、最初に薬を開発したメーカー以外も、その薬を製造販売て゛きるようになります。
そして、そうした薬を他のメーカーが作ろうと計画して申請し、承認された後に実際に販売されるようになったものが「後発医薬品」です。
「一般的である」という意味で「ジェネリック医薬品」とも呼ばれます。
先発医薬品とジェネリック医薬品は、同じ有効成分で作られています。
違いがあるとすれば、有効成分以外の添加剤の種類や、製剤の大きさ、形状などだけで、決して先発品に劣ることはありません。
しかし、ジェネリック医薬品は、先発品のような開発費がかかっていませんから、価格が安く設定されて売られています。
そのためか、「ジェネリックは安かろう悪かろう」という印象をもつ方も少なくないようです。
「ジェネリックは嫌」「飲みなれている薬から変えたくない」と主張し、薬局の窓口でジェネリックへの切り替えを拒む方もいます。
選定療養制度の目的は、深刻な医療費の増加をジェネリックで抑制すること
国としては、年々増加する国民医療費を抑制するために、先発とジェネリックの両方がある薬については、できるだけジェネリックを使うことを推奨してきました。そのかいあって、ジェネリックの普及率は80%を超える水準まで高まってきました。
しかし、国は80%ではまだ不十分で、できる限り100%に近づけたいと考えているのでしょう。
次の一手として出してきたのが、今回の「選定療養」の制度です。
令和6年10月からこの制度がスタートすると、ジェネリック医薬品があるのに先発医薬品の処方を希望する場合には、「特別料金」を支払うことになります。
端的に言うと、価格が抑えられていることで医療費抑制につながるジェネリックではなく、高額で医療費を圧迫する先発医薬品を希望すると「ペナルティーが科される」ともいえます。
先発医薬品を選ぶ場合、負担しなくてはならない割り増し金額の目安
具体的な料金の目安は、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の4分の1相当です。例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円を、通常の1~3割の患者負担とは別に特別徴収されることになります。
なお、価格が異なるジェネリック医薬品が複数ある場合には、価格が一番高いジェネリック医薬品と先発医薬品の差で計算します。
1錠単位では微々たる金額かもしれませんが、多くの人がジェネリック医薬品を選択する中で、「何となくジェネリックは嫌」といった理由だけで切り替えを拒んでいると、余計な特別料金を自腹で支払わなくてはなりません。
しかも特別料金は課税対象です。消費税も上乗せされるため、上の例のように特別料金が10円と計算される場合、窓口で実際に徴収されるのは「11円」になります。
科学的な理由に基づかない「何となく」といった気分的な理由で、余分な出費を続けるのは、もったいないことです。
選定療養の対象にならないよう、ジェネリックへの切り替えを検討するのによいタイミングではないかと思います。
▼阿部 和穂プロフィール
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。
東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。
専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
関連するビデオ: 「高齢社会対策大綱」6年ぶり改定 75歳以上の医療費の窓口負担拡大を検討 (テレ朝news)
長期収載品の「選定療養」とは?
2024年10月1日からの選定療養制度完全ガイド:薬局薬剤師が知っておくべき新たな患者負担の仕組み
目次
●新制度「長期収載品の選定療養」の解説
1. 長期収載品の選定療養とは?
2. 対象となる医薬品
3. 処方せんの記載様式の変更
4. 患者の費用負担と対応
5. 薬局の対応と準備
●公費負担の患者は?
●生活保護患者は?
●まとめ
新制度「長期収載品の選定療養」の解説
2024年10月から始まる「長期収載品の選定療養」は、薬局薬剤師にとっても重要な新制度です。この制度の目的や患者への影響、薬局での対応について。
知って得する!2024年からの長期収載品の選定療養制度のポイントと患者への影響。
1. 長期収載品の選定療養とは?
選定療養は、患者が保険適用の後発医薬品ではなく、先発医薬品(長期収載品)を選択する場合に、その費用差額を自己負担する制度です。この新しい制度は、後発医薬品が市場に出回っている場合に適用され、患者が先発医薬品を選択する際の費用負担が明確にされます。
2. 対象となる医薬品
選定療養の対象となるのは、後発医薬品が存在し、かつ初回薬価収載から5年以上経過した先発医薬品です。ただし、以下のケースでは対象外となります
後発医薬品の置換え率が1%未満
後発医薬品と剤形が異なる場合
3. 処方せんの記載様式の変更
新制度では、処方せんに「変更不可(医療上必要)」や「患者希望」の記載欄が追加されます。選定療養開始による処方箋様式変更 (出典)令和6年 厚生労働省令第35号 保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令。
この変更により、医師は患者が特定の先発医薬品を希望する場合、その理由を記載する必要があります。
薬局薬剤師は、この情報をもとに患者への説明を行い、選定療養が適用されるかどうかを確認します。
4. 患者の費用負担と対応
選定療養が適用される場合、患者は先発医薬品と最も高価な同一成分後発医薬品の価格差の1/4を自己負担します。薬局薬剤師は、患者に対してこの制度の詳細や費用負担について十分な説明を行う必要があります。
また、薬局での在庫状況や医療上の必要性に応じて、選定療養の適用が困難な場合もあります。
以下の表は、選定療養における先発医薬品と後発医薬品の患者負担(3割普段の場合)の違いをまとめたものです。
薬剤の種類 保険適用 患者負担割合 追加費用負担 費用例
先発医薬品
(長期収載品) あり 70%(患者負担3割) あり(選定療養費) (先発医薬品の薬価 - 最も高価な後発医薬品の薬価)×1/4×1.1(消費税10%)
後発医薬品 あり 70%(患者負担3割) なし なし
選定療養自己負担額増加のイメージ
この表では、先発医薬品の場合、後発医薬品との差額分が追加で自己負担となる「選定療養費」が発生する点が特徴です。
一方、後発医薬品を選択する場合は、通常の保険適用での自己負担のみとなります。
グラフで示すと以下のようなイメージです。
長期収載品の選定療養イメージ
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について より引用
具体例
長期収載品の薬価が200円、それに対応する最高価格帯の後発医薬品の薬価が100円の場合、選定療養としての患者負担分は差額100円の1/4の25円です。
長期収載品薬価200円から患者負担分25円を差し引いた175円の3割の52.5円に27.5円(25円に消費税10%分を追加)を加えた80円が患者負担となります。
長期収載品の選定療養具体例
Reach 2024特別号②より抜粋
5. 薬局の対応と準備
薬局薬剤師は、新制度に対応するために以下の点に注意が必要です。患者への説明:選定療養の適用条件や費用負担の詳細を明確に伝える。
処方せんの確認:処方せんに記載された「変更不可」や「患者希望」欄を確認し、適切な対応を行う。
在庫管理:後発医薬品と先発医薬品の在庫を適切に管理し、患者の選択をサポートする。
公費負担の患者は?
指定難病や小児等で公費で治療をうけている患者さんも治療上の必要がなく長期収載品を選択した場合、特別の料金が発生します。生活保護患者は?
生活保護の患者さんは制度上、基本的に後発品を選択されているはずです。先発品を希望されても後発品を調剤しましょう。
選定療養の導入により、患者の選択肢が広がる一方で、薬局薬剤師には新たな説明義務が生じます。
患者が安心して医薬品を選べるよう、しっかりとした対応が求められます。
制度の開始に向けて、適切な知識と準備を整え、患者支援に努めましょう。
新制度に関する詳細は、厚生労働省の公式情報や関連の指導資料をご確認ください。
質問や懸念がある場合は、薬剤師会などに相談することをお勧めします。
「長期収載品の選定療養」導入 Q&A
10月から「医薬品の自己負担の新たな仕組み」がスタート
今年10月1日から始まった「後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)の選定療養」は、将来にわたって国民皆保険を守っていくため、医療保険財政の改善を図ることを目的としたものです。
ここではQ&A方式で、その目的や内容などを解説します。
Q1:「長期収載品の選定療養」とは何ですか?
A1:「後発医薬品」がある先発医薬品を希望される場合は「特別の料金」をご負担いただくということです。
「長期収載品」とは、同じ成分の後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある先発医薬品のことを言います。現在、厚生労働省では、こういった長期収載品について、後発医薬品の積極的な活用を国民の皆さまにお願いしています。
一方、「選定療養」とは医療保険制度上の仕組みの一つで、今年10月1日以降、「医療上の必要性がある場合」などを除いて、患者さんの希望により、後発医薬品ではなく長期収載品の処方を受ける場合は、選定療養の対象として、「特別の料金」のご負担をお願いすることとしています。
Q2:「特別の料金」を支払わなくてはいけない理由は何ですか?
A2:将来にわたって国民皆保険を守っていくためです。
国民の皆さまの保険料や税金で賄われている医療保険の負担の上昇を抑え、将来にわたって国民皆保険を守っていくため、現在、国では比較的価格の安価な後発医薬品への置き換えを進めています。
そこで、「医療上の必要性がある場合」を除き、患者さんのご希望でより価格の高い一部の長期収載品を希望する場合には、「特別の料金」の負担をお願いすることになりました。
今回めざしているのは、皆さまに特別の料金をお支払いいただくことではなく、この機会に、より多くの方に後発医薬品の利用への切り替えをご検討いただくことです。
後発医薬品の活用により、薬の処方を受ける際の経済的負担も軽くすることが可能です。
また、これにより、医療機関や薬局の収入が増えるというわけではありません。医療保険者による保険給付が減少することで、医療保険財政の改善が見込まれるということが狙いです。
この点へのご理解とご協力をお願いします。
Q3:どのような場合に、「先発医薬品を使用する医療上の必要性がある」とされますか?
A3:安全性など4つのケースが想定されます。
大きく4つのケースを想定しています。
1つ目は、先発医薬品と後発医薬品で、薬事上承認された効能・効果に差異があり、疾病の治療のために先発医薬品を処方する必要がある場合。
2つ目は、患者さんが後発医薬品を使用された場合に、副作用やほかの薬との飲み合わせによる相互作用が生じたり、先発医薬品との間で治療効果に違いが出るなど、安全性の観点から先発医薬品を処方する必要がある場合。
3つ目は、各学会などが作成しているガイドラインにおいて、先発医薬品を使用している患者さんについては後発医薬品へ切り替えないことを推奨しているような場合。
4つ目は、剤形上の違いにより、後発医薬品の調剤が難しく、先発医薬品を処方する必要がある場合。
以上4つのいずれかに該当すると医師などが判断する場合、「医療上の必要性がある」として、これまでどおり保険給付の対象として先発医薬品の処方を受けていただくことが可能です。その際、今回の「特別の料金」は発生しません。
Q4:医療機関などに後発医薬品の在庫がない場合にも「特別の料金」が発生しますか?
A4:在庫がなければ「特別の料金」は発生しません。
流通などの問題により、医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合は、「特別の料金」を支払う必要はありません。
Q5:先発医薬品を使い続けた場合、どれぐらい支払いは高くなるのですか?
A5:先発医薬品と後発医薬品の薬価の差額の4分の1相当をご負担いただきます。
「医療上の必要性がある場合」を除き、患者さんが使用感や味といった、薬の有効性に関係のない理由で先発医薬品を希望する場合は、「特別の料金」として、先発医薬品と後発医薬品の薬価の差額の4分の1相当の額をご負担いただくことになります(図表参照)。
残りの4分の3については、これまでどおり保険給付の対象になり、たとえば3割負担の方なら、そのうち7割は医療保険から給付され、残りの3割が患者負担となります。
「病気が治ると笑顔に戻ります。そして、その家族が笑顔になります。」…ハル薬局の願いです。
「幸福だから笑うのではなく、笑うから幸福なのです。」笑顔を大切に…by 黒柳徹子、「笑門来福」