<ruby><rb>零売</rb><rt>れいばい</rt></ruby>規制 電話注文・問合せフリーダイヤル0120-325-328

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漢方薬通販サイト

           零売れいばい規制の解説

零売れいばいとは、処方箋なしに医療用医薬品を必要量だけ販売すること。

<ruby><rb>零売</rb><rt>れいばい</rt></ruby> 零とは小さいという意味で、小分け販売とも言う。

零売れいばいを行う薬局は零売れいばい薬局と呼ばれ、薬剤師が顧客の症状を聞いてカウンセリングを行った上で販売する。

零売れいばいは厚生労働省が条件付きで認めた制度である。

零売れいばいとは、医療用医薬品を処方箋なしに、または一般用医薬品を容器から取り出して顧客の必要量だけ販売することをいいます。

分割販売と呼ぶこともあります。

処方箋医薬品は、零売れいばいすることはできないです。

医療用医薬品 = 処方箋医薬品 + 処方箋医薬品以外の医薬品
   ・処方箋医薬品 = 処方箋が無い者に(薬局が)販売してはならない薬
   (薬機法第49条)
   ・処方箋医薬品以外の医薬品 = 処方箋が無くても薬局で販売してもらえる薬
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零売れいばい薬局」の販売規制へ

厚労省マーク

処方箋なしで医療用医薬品―認める条件明確化・厚労省 2023年12月17日07時03分配信

処方箋なしで例外的に医療用医薬品を販売する「零売れいばい(れいばい)薬局」を巡り、国の通知を逸脱した不適切販売が行われているとして、厚生労働省は規制を強化する方針を固めた

2023年12月18日に検討会を開き、販売を認める条件を法令で定めるなど対応策をまとめる。

医療用医薬品は副作用のリスクがあることから、医師の診断を経て、原則として処方箋に基づいて販売される。一部の医療用医薬品は例外的に処方箋なしでも販売できる場合があり「零売れいばい」と呼ばれる。

同省は通知で零売れいばいについて、大規模災害で医師の受診が困難など「正当な理由」に加え、市販薬では対応できないといった「やむを得ない場合」に限って認めてきた。

しかし、一部の零売れいばい薬局が「処方箋なしで病院の薬が買えます」などと通知で不適切とする広告を出していたことが判明。

薬の効能・効果にない表現を用いて販売したり、医療用医薬品とビタミン剤を「美肌セット」と称して売ったりしたケースもあったという。

クーポンを配るなど日常的に医療用医薬品を取り扱う店舗もあり、厚労省幹部は「SNSを使った広告が増加の背景にあるのでは」と話す。

事態を重く見た厚労省は2月、対策に向けた検討会を発足。

会合では、日本零売れいばい薬局協会から「受診するよりもお得ですといった、不適切な表現をする事業者がいることも事実」との説明があり、委員からは「不適切な販売が広がるのは問題」との声が上がった。

このため、同省は医療用医薬品について、処方箋に基づく販売を原則とした上で、「やむを得ない場合」に限って認めることを法令で明記。

さらに、具体的なケースとして「服用中の薬が不測の事態で手元になく診療も受けられない」「流行拡大に伴う需要の急増などで保健衛生が脅かされる事態」などを挙げ、販売できる量は数日分程度の「最小限度」とする条件も設けることにした。

医療用医薬品の販売を強調する広告も禁止する方向で調整しており、同省は検討会の議論を踏まえ、関係法令を改正する方針だ。

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1.【零売れいばい薬局】の概要

1.1 零売れいばい薬局とは?

処方箋なし

処方箋なしで病院の薬が買え処こんなキャッチコピーを掲げる薬局を目にしたことはないだろうか?。

医療関係者の間でもあまり知られていなかった「零売れいばい」(分割販売)という販売方法をフル活用し、処方箋なしに一部の医療用医薬品を提供する、いわゆる「零売れいばい薬局」です。

昭和薬局 怪しげな存在に映るかもしれないが、実は零売れいばいは、古くは明治時代から100年以上、少なくとも旧薬事法が施行された1961年から薬局に認められている仕組みです。

医薬品医療機器等法で処方箋が必須な「処方箋薬」は、全体の約3分の2にとどまります。

残りの約3分の一に当たる約7000品目は「それ以外」(非処方箋薬)です。ドラッグストアに並ぶ一般用医薬品(OTC薬)と同様の成分、古くからあるビタミン剤や風邪薬、解熱鎮痛剤、点眼薬、塗り薬、湿布、漢方薬などです。 これらは処方箋がなくても薬局で薬剤師が対面で販売できる(下図参照)。

処方箋薬と非処方箋薬

もちろん健康保険の対象外であり、価格は薬局ごとにバラバラです。

ただ、国が決めた薬価をベースに医薬品卸から仕入れられるため、OTC薬よりも格安で提供することもできます。

1.2 最近の零売れいばい薬局の状況

そんな零売れいばい薬局が街中で見られるようになったのは、最近のことです。

2001年に新潟県 の「薬局アットマーク」 »、が始めたのが先駆け

2012年に北海道の「くすりやカホン」 »

2015年に東京の「オオギ薬局」 »

2016年にチェーン店の「おだいじに薬局」 »
が続いた。

東京進出で勢いがっき、正確なデータはないものの、保険での処方箋調剤と零売れいばいの両方を手がける薬局を含めると、今や全国100店舗以上に達したともいわれています。

それだけの二-ズをくみ取ったわけだ。ところが、こうした零売れいばい薬局の動きが「目立つ」「危険だ」と非難され始めました。

零売れいばい薬局事例」 »

武見敬三大臣 松本吉郎会長













厚生労働省(武見敬三大臣)、日本医師会(松本吉郎会長)、身内のはずの日本薬剤師会(山本信夫会長)からもたたかれ、存続の危機に瀕しています。 山本信夫会長 ペン


2. 多方面に【不都合】な零売れいばい

2.1 零売れいばい批判の理由

批判の的になっている理由は、これらの零売れいばい薬局が「厚労省の意向を無視している」とみられたことです。

厚労省マーク 厚労省の意向とは、2005年に出された局長通知のことを指します。

零売れいばいについて「OTC薬の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむをえず販売を行わざるをえない場合」、さらに「必要最小限の数量」の販売に限定させる考え方を示したものだ。

通知では、零売れいばいする前に、医療機関での受診を勧奨することや、販売記録、服薬指導などを記録する薬歴の作成、零売れいばいする際に添付文書のコピーなどを添付するといったルールも示していた。

2.2 零売れいばいへの風当たり

「やむをえない場合に限定しているのに『処方箋なしで買える』と宣伝までして零売れいばいを積極的に行っているのは、けしからん」。

厚労省怒り こんな調子で、零売れいばい薬局の存在に気づいた医師らが不満の声を上げ始めたのだ。

医肺の診察や処方をスキップする抜け穴的な手法だけに、一気に風当たりが強まった。

2021年には日本眼科医会が、零売れいばい薬局でステロイド点眼剤などが販売されていると問題視し、国会議員や厚労省へのロビー活動を展開しました。

こうした動きに呼応する流れで、厚労省は2023年2月22日に「第1回 医薬品の販売制度に関する検討会」を立ち上げ、零売れいばいの規制強化に着手することになりました。(下図参照)

厚労省検討会

一方、零売れいばい薬局側にも言い分があります。まず、局長通知にある「やむをえない場合」の具体的な定義は、どこにも書いていないです。

例えば「医療機関を受診する時間がない」など、幅広い理由を「やむをえない」と捉えられます。

「処方箋なしで病院の薬が買える」と広告することも禁止されていないです。

零売れいばいが「危険」との見方にも首をかしげます。

2002年の旧薬事法改正で、零売れいばいできる非処方箋薬の範囲を医療用薬の約3分の2から約3分の1へと大幅に制限しました。

使用経験が長く、比較的リスクの低い品目などに絞りました。

もともと、注射剤や麻薬製剤「抗生物質」も零売れいばいできましたが、現在はできなくなっています。

医師が処方権を振りかざし、糖尿病治療薬をダイエット目的で適応外使用する「GLP-1ダイエット」など、よりハイリスクな薬が自由診療で氾濫する中で「なぜ真っ先に零売れいばいがたたかれるのか」とみる向きもあります。

そもそも、法律上、零売れいばいを縛る決まりはなく、2005年の局長通知には法的根拠がない。

零売れいばいは、通常の調剤薬局でも、患者対応の中で一部行われており、「医師が怒らないようこっそりと零売れいばいするのはよくて、堂々とやると非難される」(零売れいばい薬局経営者)といった不満も根強い。

零売れいばいにより薬局に患者を奪われる医師、思わぬ競合勢力に直面するOTC薬メーカー、「零売れいばいで売られる軽度な薬は保険から外そう」という医療費削減の理屈に使われる危機感など、多方面の"不都合"も背景にチラつく。

厚労省マーク おのおのが主張を持つ中、零売れいばい規制を見直す厚労省の検討会で待っていたのは、利用者目線なしで、一方的に零売れいばい薬局を吊るし上げる異様な展開だった。 ペン


3. 実態把握もせず規制強化

「処方箋なしに病院の薬が買える、これをキャッチフレーズにしているのであれば、薬剤師法第23条に失格。医道審議会にかけなければならない」2023年6月12日の厚労省検討会。

宮川政昭常任理事 裁判所 受診勧奨も行いながら適切な零売れいばいに努めていると理解を求めに来たオオギ薬局の扇柳創輔代表に対し、医師会の宮川政昭常任理事はこう言い放った。



医道審議会とは、いわば医療職種の"裁判所"だ。

オオギ薬局の扇柳創輔代表 医師や薬剤師の免許剥奪などを検討する会議である。

医師会はそこに委員を輩出する、いわば裁判官側の立場にもかかわらず、零売れいばいと直接関係のない法律論を持ち出して糾弾した。

「病院に行く時間があって、クリニックでしっかり話を聞いてくれて、検査する時間も、国の医療費もすべてあって、調剤薬局でも適切な対応をしてくれてという、すごくきれいな世界があれば、当然、零売れいばいは成り立っていない」

扇柳氏はこう訴えながら、せめてまず「実態把握」を行うよう求めたが、厚労省は応じなかった。

国会議員からも調査を求める声がありながら、厚労省は9月4日の検討会で、零売れいばいできる施設や「やむをえない場合」の定義を限定し、事実上、零売れいばい薬局を廃業させる内容の対応案を提示。

法改正を念頭に、そのまま了承された。

もちろん過剰量の零売れいばいなど、不適切事例があるのであれば、是正は必要だろう。

零売れいばいすべきでない品目があるのであれば整理するのも自然。

不適切な広告も当然、正すべきだ。

しかし、現状の流れは、調査すらせずに個々の経験則を基に「零売れいばいはけしからん」と一方的に封殺しようとしているにすぎない。

調剤薬局経営者らで構成する日本薬剤師会は、零売れいばい薬局を「邪道」と断じ、零売れいばい自体は残しつつ医師会の主張に寄り添う姿勢を見せる。

会内から「零売れいばいは薬剤師の権利」「医師の言いなりか」と批勒する声も聞かれるが、反撃ののろしを上げるまでには至っていない。 ペン


4. 零売れいばいの条件を法に明記

処方せんなしで販売できる医療用医薬品は、処方せんが必要な医療用医薬品と同じように使用されることを前提として供給されています。

例えば、医療用医薬品の添付文書には、医師、薬剤師など専門的な知識や技術を身に付けた医療従事者が、患者さんへ安全かつ効果的に薬物治療を提供するために必要な情報が記載されています。

また、同じ成分を使用した医療用医薬品と市販薬であっても、添付文書に記載されている内容が異なる場合もあります。

医療用医薬品は、医療従事者の管理の下で扱われることを前提としているため、基本的に処方せんに基づいて交付することとされています。

ただし、「一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨等を行い販売することが可能」と、先にも紹介した資料「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」に示されており、ヒアリングや指導などを適切に行った上で薬剤師による対面販売をするのであれば、現時点では法的に問題がありません。

また、「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」を処方せんなしで販売する際には、以下の点について留意することとされています。

「やむを得ない」とは、そうするより他に方法がなく、仕方がないことです。

● 販売数量については、適正な使用のために必要と認められる数量に限ること。

● 必要に応じて、他の医薬品(一般用医薬品等)の使用を勧めること。

● 必要に応じて、医師または歯科医師の診断を受けることを勧めること(受診勧奨)。

● 販売した薬剤師の氏名、薬局の名称および電話番号その他連絡先を伝えること。

● 品名、数量、販売の日時等を書面に記載し、2年間保存すること。

● 購入した者の連絡先を書面に記載し、これを保存するよう努めること。

(参考:処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売について|厚生労働省厚労省マーク

薬局で零売れいばいを行う際は、受診の必要性を判断し、要指導医薬品または一般用医薬品での対応を検討したうえで、やむを得ないと判断されるケースが該当します。

その際、販売した相手や担当した薬剤師などの情報を書面で記録・保存しておくよう求められています。 <ruby><rb>零売</rb><rt>れいばい</rt></ruby>の仕組み

5. 参考

医薬品の販売制度に関する検討会 »議事録・資料

5.1 処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等について

厚労省マーク 【厚労省再周知】零売れいばいの不適切事例/「処方箋がなくても買える」は不適切/一般人向け広告不可

【2022.08.08配信】厚生労働省は8月5日、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等について、通知の趣旨を逸脱した不適切な販売方法が散見されるとして、不適切事例を整理した。

「処方箋がなくても買える」などの表現は不適切としたほか、一般人向けの医療用医薬品の広告は行ってはならないことなどを再周知した。

 厚労省の再周知の文書は以下の通り。

ライン ■ 処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について

                       各
都道府県知事
保健所設置市長
特別区長
殿


厚労省マーク 薬生発0805第23号 令和4年8月5日
厚生労働省医薬・生活衛生局長

 処方箋医薬品以外の医療用医薬品(薬局製造販売医薬品以外の薬局医薬品を いう。以下同じ。)の販売方法等については、「薬局医薬品の取扱いについ て」(平成26年3月18日付け薬食発0318第4号厚生労働省医薬食品局長通知。     以下「薬局医薬品通知」という。)において、薬局医薬品の取扱い及び留意事 項等を示しているところですが、薬局医薬品通知の趣旨を逸脱した不適切な販売方法が散見されることから、下記のとおり改めて整理しましたので、御了知 の上、貴管下関係団体、関係機関等へ周知いただき、不適切な事例については 指導を徹底されるようお願いします。

                        記

 1.処方箋医薬品以外の医療用医薬品の処方箋に基づく薬剤の交付 処方箋医薬品以外の医療用医薬品については、処方箋医薬品と同様に、医 療用医薬品として薬剤師、薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若 しくは販売業者、医師、歯科医師若しくは獣医師又は病院、診療所若しくは 飼育動物診療施設の開設者(以下「薬剤師等」という。)によって使用されることを目的として供給されるものであるため、薬局医薬品通知の第1の1. (2)に掲げる場合を除き、薬局においては、処方箋に基づく薬剤師による 薬剤の交付が原則であること。

医薬品分類 2.処方箋医薬品以外の医療用医薬品の処方箋に基づく薬剤の交付の例外 (1)考え方
 薬局における処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売又は授与(以下「販売 等」という。)は、要指導医薬品又は一般用医薬品(以下「一般用医薬品等」 という。)の販売等による対応※を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合に限られていること。 なお、販売等に当たっては、  (2)の事項を遵守すること。
 また、  (3)に掲げるような表現を用いて、処方箋医薬品以外の医療用医薬 品の購入を消費者等に促すことは不適切であること。
※要指導医薬品又は一般用医薬品の販売等による対応 同様の効能効果を有する一般用医薬品等がある場合はまずは当該一般 用医薬品等を販売等することとし、一般用医薬品等の在庫がない場合は他 の薬局や店舗販売業を紹介等するなど、一般用医薬品等の販売等による対応を優先すること。

(2)遵守事項
ア 受診勧奨
必要な受診勧奨を行った上で、販売等しなければならないこと。
イ 必要最小限の数量 処方箋医薬品以外の医療用医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者及び当該医療用医薬品を使用しようとする者に対し、他の薬局開設者から の当該医療用医薬品の購入又は譲受けの状況を確認し、医療機関を受診で きるまでの期間及び医薬品の特性等を考慮した上で、販売等を行わざるを 得ない必要最小限の数量に限って販売等しなければならないこと。

 また、反復継続的に医薬品を漫然と販売等するようなこと(いわゆるサ ブスクリプションなどを含む。)は、医薬品を不必要に使用するおそれが あり、不適切であること。

 加えて、薬事承認された効能・効果、用法・用量の範囲を超えた、適応 外使用を目的とする者への販売等は不適切であること。

ウ 販売記録の作成 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和 36 年厚生省令第1号。以下「医薬品医療機器等法施行規則」 という。)第 14 条第3項及び第4項の規定に基づき、処方箋医薬品以外の 医療用医薬品の品名、数量、販売等の日時等を書面に記載し、当該書面を 2年間保存しなければならないこと。また、同条第6項の規定により、当該医薬品を購入し、又は譲り受けた 者の連絡先を書面に記載し、これを保存するよう努めなければならないこと。

エ 保管場所
調剤室又は薬局等構造設備規則(昭和 36 年厚生省令第2号)第1条第1項第9号に規定する貯蔵設備を設ける区域において保管しなければな らないこと。

オ 分割方法 調剤室において、薬剤師自らが必要最小限の数量を分割した上で、販売等しなければならない。なお、医薬品の販売等にあたり、あらかじめ決ま った数量に分包等しておくことは、小分け製造に該当するため、医薬品製 造業の許可等が必要であること。

カ 対面による販売等及び服薬指導の実施 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第 36 条の 4及び医薬品医療機器等法施行規則第 158 条の8の規定により、薬局開設 者は、その薬局において医薬品の販売等に従事する薬剤師に、当該薬局内 の情報の提供及び指導を行う場所において、対面により、書面等を用いて 必要な情報(用法、用量、使用上の注意、当該薬局医薬品との併用を避け るべき医薬品その他の当該薬局医薬品の適正な使用のために必要な情報) を提供させ、処方箋医薬品以外の医療用医薬品が一般用医薬品とは異なり 医療において用いられることを前提としていることを十分に考慮し、必要 な薬学的知見に基づく服薬指導を行わなければならないこと。

また、薬剤師は、あらかじめ、当該医薬品を使用しようとする者の年齢、 他の薬剤又は医薬品の使用の状況、性別、症状等を確認しなければならな いこと。

さらに、当該医薬品を使用しようとする者に対して提供した当該情報及 び服薬指導の内容を理解したこと並びに質問の有無について確認しなけ ればならないこと。

キ 直接の容器又は被包への記載 分割販売する処方箋医薬品以外の医療用医薬品には、医薬品医療機器等法第 50 条に規定する事項及び同法第 52 条に規定する容器等への符号等の 記載又はその写しの添付を行うなどしなければならないこと。

ク 使用者本人への販売等医薬品医療機器等法第 36 条の3第2項の規定により、薬剤師等が業務の用に供する目的で薬局医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合に販売等する場合を除き、使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく、販売等を行ってはならないこと。 なお、正当な理由については、薬局医薬品通知の第2の2.のとおり。

ケ 薬剤服用歴の管理
販売等された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、当該医薬品を使用 しようとする者の薬剤服用歴の管理を実施するよう努めなければならないこと。

また、医薬品の適正使用の観点から、当該医薬品を使用しようとする者の状況や、販売等した数量を適正と判断した理由を記載すること。

コ お薬手帳
処方箋医薬品以外の医療用医薬品を使用しようとする者が手帳を所持していない場合はその所持を勧奨し、当該者が手帳を所持している場合は、必要に応じ、当該手帳を活用した情報の提供及び服薬指導を行わなければならないこと。

サ 薬剤使用期間中のフォローアップ
医薬品医療機器等法第 36 条の4第5項及び医薬品医療機器等法施行規則第 158 条の9の2の規定に基づき、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を 購入し、又は譲り受けた者における当該医薬品の使用状況を継続的かつ的 確に把握し、必要な情報を提供し、又は必要な薬学的知見に基づく服薬指 導を行わなければならないこと。

シ 手順書の作成及び手順書に基づく業務の実施
処方箋医薬品以外の医療用医薬品を販売等する場合は、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(昭和 39 年厚生省令 第3号)第1条第2項第4号及び第5号に規定する手順書に、その販売等 に必要な手順等を明記する必要があること。

また、当該手順書に基づき、適正に業務を実施しなければならないこと。ス 広告 医薬品を使用しようとする者のみの判断に基づく選択がないよう、引き続き、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を含めた全ての医療用医薬品につ いて、一般人を対象とする広告は行ってはならないこと。

(3)不適切な表現
薬局における処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売等は、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合に限られており、次のような表現を用いて、処方箋 医薬品以外の医療用医薬品の購入を消費者等に促すことは不適切であること。

・「処方箋がなくても買える」
・「病院や診療所に行かなくても買える」
・「忙しくて時間がないため病院に行けない人へ」
・「時間の節約になる」
・「医療用医薬品をいつでも購入できる」
・「病院にかかるより値段が安くて済む」
 また、上記に限らず、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合以外でも、 処方箋医薬品以外の医療用医薬品を購入できるなどと誤認させる表現につい ても同様であること。
ライン

5.2 令和5年6月12日 第5回 医薬品の販売制度に関する検討会

厚労省マーク第5回医薬品の販売制度に関する検討会

6. 一般社団法人日本零売れいばい薬局協会

一般社団法人日本零売れいばい薬局協会(本社:東京都千代田区 理事長 服部雄太)は、処方箋なしで病院の薬が買える零売れいばい薬局の普及啓発、薬剤師の活躍できる環境作り、一般消費者への安心・安全なサービスの提供を目指し活動をするために設立された業界団体です。

6.1 日本零売れいばい薬局協会 設立

<団体名>
一般社団法人日本零売れいばい薬局協会(Japan Association for Prescription-Free Pharmacy)
<設立日>
2020年3月26日
<理事長>
小瀨文彰
協会設立の背景

昨今の新型コロナウィルスの感染拡大の影響で「かかりつけ医が休業してしまった」「ドラッグストアの薬が買い占められ、いつもの薬が手に入らない」などの相談も多く、国、行政でも、医療制度・体制の見直しが必要とする議論が各所でされています。With/Afterコロナの医療提供体制の1つとして期待されています。

ただ、残念ながら、現在は利用者への零売れいばい薬局の認知度も低く、零売れいばいに関する国のガイドラインや自主基準などがないため、しっかりとしたガバナンスのもとで行われているとはいえない現状です。

事業者は一定のルールのもと、患者、消費者の健康を第一に考え、わかりやすく適正な販売を行う必要があります。

今後の取り組みについて 本協会は、業界最大手の事業者が中心となって組織化された業界団体だからこそ、率先して自主基準を作成し、基準の強化と普及などを積極的に行っていく必要があると考えています。

また、利用者に対しても、零売れいばいのサービスの価値や、正しい情報を伝えていく努力が必要だと考えています。

利用者が安心、安全に適切なサービスを選択することができるようになれば、予防、健康意識が高まり、国民生活の質の向上(QOL)、健康寿命の延伸に寄与することが期待されます。

零売れいばい薬局」についてのQ&A

零売れいばい薬局」の開局には、特別な許認可が必要ですか?

服部:零売れいばいのための特別な許認可は必要なく、都道府県のいわゆる「薬局」の免許だけでできます。保険薬局でなくてもできます。全国にはコンビニエンスストアよりも多く約6万店の薬局が存在しているといわれていますが、そのすべてでやろうと思えば可能です。 零売れいばいに関する法的な背景・根拠とは? 服部:零売れいばい(れいばい)とは古くから薬局間などで行われてきた行為ですが、平成26年(2019年)の通知にて改めて定めが示されています。

零売れいばいは、「零売れいばい(ぜろばい)」という、いわゆる小分けにして売るという意味の言葉から派生したもので、もともと薬局間で行われてきました。不動在庫や処方箋調剤にあたって在庫不足の場合に近隣の薬局から分割販売を受けたり、漢方薬局ではもともと零売れいばいというような手法を使って地域のみなさんとコミュニケーションをとっていたというような歴史がございます。

一方で近年、薬剤師判断で向精神薬や処方箋薬を販売してしまうといった不適切なケースが年間数件発生しており、厚生労働省としても基準・定義をつくっていかないと、ということで、2005年3月30日付通知で、処方箋医薬品以外の医療用医薬品についての処方箋なしでの販売いわゆる零売れいばいにあたっては「一般用医薬品では対応できないやむを得ない場合に、必要最小限の数量を販売する」といった原則と、「医療機関の受診勧奨」といった実施上のルールが示されました。

これに先立っては、改正薬事法において要指示医薬品と向精神薬など医療用医薬品全体の約3分の2が新たに処方箋医薬品とされ、零売れいばい対象からは除外されるなど零売れいばい指定医薬品の定義が行われています。

勘違いしてはいけないのは、2005年の通知は、これによって零売れいばいが「解禁」になったというようなポジティブなニュース(発信)ではなく、引き続き零売れいばいは認めるけど「ちゃんとやってください」というメッセージ性の強いものです。

処方箋ではなく会話から始まる医療サービスに

零売れいばい薬局の経営や、零売れいばい薬局協会設立など積極的に関わっておられます。零売れいばいを推進する目的は何でしょうか?

服部:おおきくふたつございまして、薬剤師の活躍機会の創造、そして地域のみなさんのセルフメディケーションの啓蒙ということです。

現在、スイッチOTCの活用など保険適用外でのセルフメディケーションの推進が叫ばれていますが、なかなか進んでいないという状況があります。

市販薬がある医薬品でも引き続き病院処方される場合が多く、その総額は日本経済新聞の調べ※で2016年度で5000億円を超えるともいわれています。

※市販薬あるのに病院処方5000億円 医療費膨張の一因: 日本経済新聞

この課題の背景には、まだまだ医療業界における薬剤師の地位、信頼度の課題もあると考えています。

地域における調剤薬局の立ち位置は、医療機関の処方箋の受け皿としか認知されていません。

薬剤師として多いクレームは、「医師から薬の副作用は聞いたので、あなたからの説明はいらない」「はやく薬をください。バスの時間に間に合わない」といったもの。

患者さんにとって、医療行為はクリニックで終わっていて、薬局は単に処方箋で薬をもらう場所としてしか認識されていないのです。

医薬分業のなかで、全国に6万店くらい薬局を増やした先輩方の功績の後、新しい薬局の在り方として、これからの薬局経営者は薬剤師の地位をしっかり上げていくようにしていくべきなのではないかと考えています。

具体的には、軽度な健康課題は地域の薬局に頼っていただけるようになりたい。医療サービスのファーストコンタクトは「まず薬局」という動線づくりが、これから必要になってくるんじゃないかと思っているのです。

そのひとつのきっかけとして、零売れいばいというのが医療機関を介さずに、直接薬局にきてもらえる医療サービスになれるのではないか。「処方箋」からはじまるのではなく、「会話」から始まる医療サービスです。患者さんにしっかりコミュニケーションをとって、いわゆる昔の薬局のように地域のみなさんの健康を守っていくのが薬剤師であるべきだと思っています。

6.2 日本零売れいばい薬局協会が解散 規制強化方針に「役割終えた」

2024/7/10 10:41

零売れいばいの普及を目的に、2020年に設立された日本零売れいばい薬局協会が解散したことが分かった。

厚生労働省が零売れいばいの規制を強化する方針を決めたほか、同協会の中核だった「GOOD AID」(名古屋市)がファーマライズホールディングス(HD)※6 の子会社になったことで、役割を終えたと判断した。

既にホームページを閉鎖した。

同協会は20年に設立し、21年には零売れいばいの手順などを定めたガイドラインを公表。

零売れいばいを新たな医療の選択肢に位置付け、普及・啓発活動などを展開していた。

しかし、厚労省の「医薬品の販売制度に関する検討会」は、例外的なケースを想定した零売れいばいが日常的に行われることを問題視。

法的拘束力のない通知で定められている「やむを得ない場合」を法令上明記し、規制強化する方針を決めた。

服部雄太 零売れいばいをビジネスとして継続させるには厳しい状況になった。

ファーマライズHDは今年1月、GOOD AIDを完全子会社化した。

GOOD AID取締役で、同協会の初代理事長を務めた服部雄太氏は同協会の解散について、同検討会の議論やファーマライズグループに加わったことで「役割を終えた」と語った。【PHARMACY NEWSBREAK】

※6 ファーマライズホールディングス(HD)株式会社(Pharmarise Holdings Corporation)は、東京都中野区に本社を置く、保険調剤薬局チェーン企業。東京証券取引所スタンダード市場上場。

70年以上の歴史をもつ老舗ドラッグストア「薬のヒグチ」を継承し、ドラッグストアやコンビニエンスストアの運営を全国で行っています。

※7 ジェイフロンティア株式会社は、オンライン診療、オンライン服薬指導、処方薬の宅配プラットフォームである「SOKUYAKU」を運営しています。

「人と社会を健康に美しく」の経営理念のもと、24時間いつでも、どこでも、誰でも医師・薬剤師とつながり薬が受け取れる社会の実現を目指し、医療機関のDX化による効率的・効果的な医療体制構築を推進しています。

また、未病・予防段階にも欠かせない医薬品・漢方・機能性表示食品・医薬部外品などの商品の企画開発、提供も行っています。

ヘルスケア領域の革新へ挑戦し続け、国民の健康寿命の伸長による医療費の抑制に貢献します。

7. 令和6年1月12日検討会のとりまとめ

厚労省マーク 令和6年1月 12 日 医薬品の販売制度に関する検討会は次の通りです。

処方箋医薬品以外の医療用医薬品※2の販売

7.1 現状と課題

○ 医療用医薬品については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「薬機法」という。)

における定義はないが、医師若しくは歯科医師により使用され、又は医師等の処方箋若しくは指示により使用されることが目的とされている医薬品であると位置づけられる。

医療用医薬品のうち、販売規制上の分類として、医師等から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して正当な理由なく販売を行ってはならない「処方箋医薬品」が定められている。

○ 処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものであることから、原則として処方箋に基づく販売とし、緊急時に医薬品のアクセスを確保する重要性等も勘案し、処方箋によらず販売するのは正当な理由がある場合か、やむを得ない場合に限る旨の通知が発出されている※3。

○ 医療用医薬品は、処方箋医薬品に指定されているか否かにかかわらず、医師の診断を経てその処方箋や指示に基づき医療の中で使用されることを目的として交付されるものであり、一般の者の需要に基づいて日常的に販売されることを前提に承認を受けた医薬品ではない。

そのため、添付文書等における使用上の注意は、あくまでも専門的知見を有する医療関係者向けに記載されたものであって、一般の者が必要な情報を容易に理解できるように配慮して作成されたものではない。

○ 一方、OTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品)は、薬剤師等から提供された情報に基づき需要者の選択により使用されることが目的とされている医薬品であることから、適切な使用のための情報が、容器や添付文書等に、一般の者にとって見やすく、分かりやすいように示されている。

○ 医療用医薬品とOTC医薬品は、両者において同じ成分を含む医薬品が存在する。

しかし、上記のとおり、医療用医薬品とOTC医薬品は、異なる目的の下に供給されることを前提にそれぞれ承認を受けた医薬品であり、添付文書等も各目的に合うよう別途作成された、異なる製品である。

ある医療用医薬品がOTC医薬品と同じ成分を含有するとしても、当該医療用医薬品を一般の者の需要により使用するものとして用いることは、医薬品の適正使用の観点から適切ではない。

○ 上記を踏まえると、「処方箋に基づかずにやむを得ず販売を行わざるを得ない場合」は非常に限定的であるべきと考えられる。



※2 「処方箋医薬品」以外の医療用医薬品には、古くから承認されている医薬品(漢方薬、ビタミン剤)や一般用医薬品にも含まれる成分(解熱鎮痛剤、胃腸薬、ステロイド外用剤等)のみを含有する医薬品が含まれる。

※3 令和4年8月5日付け薬生発 0805 第 23 号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知。
薬機法上、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を処方箋や医師の指示によらず、薬局で販売することは禁止されていないものの、医療用医薬品については処方箋に基づき交付することが原則であり、処方箋なしで交付することは、要指導・一般用医薬品の使用を考慮したにもかかわらずやむを得ず販売を行わざるを得ない場合に限る旨、通知している。


しかし、実態として、OTC医薬品の販売による対応が可能な場合や医師による診断が必要な場合においても、医師の診断を経ずに処方箋医薬品以外の医療用医薬品が販売されている例がみられる。

○ さらに、近年、「処方箋なしでの医療用医薬品の薬局での販売」を薬局営業の主たる目的として掲げるいわゆる「零売れいばい薬局」が現れ、複数店舗を展開するなど販売規模が拡大してきている。

零売れいばい薬局」においては、その販売方法について、本来は診療が必要な疾病であってもあたかも医師の診断を経ずに医薬品を購入できると受け取れるような広告(「処方箋なしで病院のお薬が買えます」等)を行う等の事例もみられる。

零売れいばい薬局」に対しては、上記通知に基づき随時行政指導が行われているものの、法律上は明確に禁止されていないこと等を理由に、医療用医薬品の日常的な販売や不適切な販売方法の広告が継続されている実態がある。

○ 処方箋に基づく調剤やOTC医薬品の販売等、薬局に求められる業務を行わず、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を処方箋によらずに販売することを薬局営業の主たる目的とするのは、薬局運営のあり方として不適切であるとの指摘もある。

○ その他、「零売れいばい薬局」において医療用医薬品のステロイド点眼薬が販売されている例がみられるが、眼圧上昇等の副作用のリスク等※4に鑑み、医師の関与なく販売されることについて懸念する意見がある。 ライン

7.2 具体的な方策 (資料 1【処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売】)

○ 医療用医薬品は、医師の診断を経てその処方箋や指示に基づき医療の中で使用されることを前提に承認を受けた医薬品であるため、一般の者の需要に応じて医師の診断を経ずに販売されると、医薬品の適正使用が十分に確保されないおそれがある。医療用医薬品の役割及び規制の実効性に鑑み、医療用医薬品については処方箋に基づく交付が基本である。

○ 処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、処方箋に基づく交付が原則であるが、やむを得ない場合に限り薬局での販売が認められてきた経緯等も踏まえつつ、例外的に「やむを得ない場合」については薬局での販売を認めることを法令上規定することとする。

また、「医療用医薬品」の定義を法令上明記すること等について併せて検討する。

○ 「やむを得ない場合」については、次の①又は②のいずれかを満たす場合とする。

どのような事例が該当するのかについては、具体的な例示も含めてガイドラインを整備する。

① 次のア及びイをいずれも満たす場合

ア.医師に処方され服用している医療用医薬品が不測の事態で患者の手元にない状況となり、かつ、診療を受けられない場合



※4 アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)(令和3年8月 10 日 日本眼科アレルギー学会診療ガイドライン作成委員会)において、アレルギー性結膜炎等に対する使用は、抗アレルギー点眼薬に効果不十分な症例に限定することが望ましく、また、眼科医による十分な経過観察が可能であることが条件とされている。


イ.OTC医薬品で代用できない場合、又は代用可能と考えられるOTC医薬品が容易に入手できない場合(例:通常利用している薬局及び近隣の薬局等において在庫がない場合等)

② 社会情勢の影響による物流の停滞・混乱や疾病の急激な流行拡大に伴う需要の急増等により保健衛生が脅かされる事態となり、薬局において医療用医薬品を適切に販売することが国民の生命・身体・健康の保護に必要である場合

○ 上記の「やむを得ない場合」における販売に当たっては、以下の事項を要件とする。

ア.原則として、必要としている医薬品を調剤した薬局や、継続して処方箋を応需するなど当該患者の状況を把握している薬局が販売すること(旅行中の場合等、通常利用している薬局の利用が難しい場合等の例外的な場合を除く。

なお、例外的な場合に販売を行う薬局は、薬剤服用歴の記録を適切に作成・保管・管理して、必要に応じて確認できることを条件とし、通常利用している薬局(必要としている医薬品を調剤した薬局)に連絡を取り、連携を図ること。)。なお、患者の状況を把握し、処方した医療機関と連携することが重要であるという観点から、かかりつけの薬剤師・薬局が販売することが望ましい。

イ.一時的に(反復・継続的に販売しない)、最小限度の量(事象発生時に休診日等の事情で受診できない場合に、通常受診している医療機関その他の医療機関に受診するまでの間に必要な量。最大で数日分程度。)に限り販売すること。

ウ.適正な販売のために購入者の氏名、販売の状況等を記録すること。また、「やむを得ない場合」の①に該当することにより販売を行った場合には、受診している医療機関に情報提供すること。

○ 上記の要件を満たした上での販売は、処方箋の継続的な応需等、薬局が患者との関係性に基づいて対応する業務であり、一般消費者向けに医療用医薬品が販売可能である点を薬局の特色として強調する内容の広告については不適切であることから、このような広告は禁止すべきである。

○ 現在は処方箋医薬品に指定されていない医療用医薬品のうち、用途等によっては副作用のリスクが高いといった一部品目については、個別にリスクを分析・評価した上で、リスクの高い医療用医薬品(従来の「処方箋医薬品」)として分類を見直すことについて検討すべきである。

○ なお、漢方薬・生薬については、伝統医学としての知見の積み重ねや、古くからの使用経験等の長い歴史があり、一般用医薬品としての販売が認められていた ※5。

しかし、次第に医療用医薬品が主流となり、一般用医薬品の販売が中止されるなど、現在では医療用医薬品の製品しか製造販売されていない漢方製剤・生薬製剤が存在する。これらについては、

・ 「薬局製造販売医薬品」の範囲の見直し(拡大)を検討する

・ 医療用医薬品の漢方製剤を製造販売しているメーカーに一般用医薬品の製造販売等を行うよう働きかけるなど、安全性を確保した上で、既存のルールの中で販売できるように対応を検討する。



※5 一般用漢方製剤製造販売承認基準、一般用生薬製剤製造販売承認基準
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8. 零売れいばい実態調査 2024/05/10

零売れいばい実態調査で半数近くが「利用したい」

金城学院大大嶋氏らによる一般向け調査結果、「利用経験あり」は、5%

2024/05/10

金城学院大学薬学部教授の大嶋耐之氏

処方箋医薬品以外の医療用医薬品を販売する、いわゆる零売れいばい(れいばい)について、一般市民の中で利用経験がある人は5%にとどまるが、半数近くが「利用したい」と考えている実態が明らかになった。

金城学院大学薬学部教授の大嶋耐之氏らによる調査結果で、知名度は低いが潜在的なニーズは高いことがうかがえた。

同調査は2023年6月1日から5日までの期間にウェブ上のアンケート形式で実施され、20歳以上の男女1500人から回答を得た。

アンケートの回答者で零売れいばい薬局を知っていたのは238人(15.9%)で、実際に利用したことがある人は75人(5.0%)だった。

零売れいばい薬局利用時に購入した薬(複数回答可)は、痛み止めが49.3%と最も多く、かぜ薬が37.3%と続き、ステロイド軟膏が20.0%、抗アレルギー薬が18.7%、ビタミン剤が17.3%、湿布薬が10.7%。利用経験がある75人うち、医薬品を購入後に薬剤師からのフォローアップがあったと回答したのは14.7%だった。

また、近くに零売れいばい薬局があったら利用したいかという質問に対しては「利用したい」と回答した人が17.8%、「やや利用したい」が28.8%であり、利用したい人が半数近くに上った。

一方で「どちらでもない」は42.1%、「あまり利用したくない」は6.7%、「利用したくない」は4.6%だった。

これらの結果について大嶋氏は「零売れいばいという名称自体が知られておらず、零売れいばい薬局の利用者も限られている。

しかし、アンケート上でその仕組みを説明したところ、半数以上が興味を示したのは驚きだ」と話す。

日本零売れいばい薬局協会によると零売れいばいの対応が可能と公表している薬局は全国で100店舗ほどあるが、零売れいばいについては医薬品医療機器等法(薬機法)の次期改正で規制が強化される見込みだ(関連記事:どうなった?零売れいばいを巡る議論)。

厚生労働省は2005年の通知で、OTC薬での対応が難しい場合など「やむを得ない場合」のみ、必要な受診勧奨などを行った上での零売れいばいを認めてきた。

しかし、同通知の範囲を超えた零売れいばいが散見されるとして、次期改正で「やむを得ない場合」のみに販売可能であることを法令上で明記し、違反には厳正に対処する方針だ。

今回の調査結果を受けて、大嶋氏は規制強化に危機感を示すと共に、「アンケートの自由記述欄では、零売れいばいは怪しい印象を受ける名称だと不評だった。ネーミングを変えて浸透を図る試みを検討してもいいかもしれない」との私見を述べた。

「薬剤師の未来を考える会」の初会合を24日に開催

薬機法で示される「やむを得ない場合」の範囲によっては、零売れいばいできる状況が極めて限定され、薬剤師の業務範囲が狭まる可能性もある。

大嶋氏は「零売れいばいの件も含めて、薬剤師の業務範囲、ひいては薬学教育を見直し、将来的な存在価値を再構築する必要があるのではないか」と語る。

大嶋氏らは零売れいばいという行為も含めた薬剤師を取り巻く諸課題を議論する場として、新団体「薬剤師の未来を考える会(仮称)」を近く発足する。

まずはプレ会合を2024年5月24日にオンラインで開催する予定だ。

「2040年に向けて業界で生き残るための道筋を共に模索し、一生懸命頑張っている現場の薬剤師の味方となることを目指したい」と大嶋氏は話している。

(「薬剤師の未来を考える会(仮称)」プレ会合の詳細はこちら)ペン


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9.医薬品の販売区分及び販売方法の見直し

2025/01/10(金)

令和7年(2025年)度薬機法改正に向けた議論の取りまとめが発表されました。

厚生労働省 令和元年以来の大幅な改正の見込みで、取りまとめ資料には保険薬局でも影響のある内容が複数明記されています。

薬局に関連する内容を中心に改正のポイントを解説しています。 ペン

9.1 概要

5. 医薬品の販売区分及び販売方法の見直し

① 処方箋なしでの医療用医薬品の販売の原則禁止

○ 医療用医薬品については処方箋に基づく販売を原則とした上で、やむを得ない場合(※)にのみ薬局での販売を認める。

※ ①医師に処方され服用している医療用医薬品が不測の事態で患者の手元にない状況となり、かつ、診療を受けられない場合であって、一般用医薬品で代用できない場合、

又は ②社会情勢の影響による物流の停滞・混乱や疾病の急激な流行拡大に伴う需要の急増等により保健衛生が脅かされる事態となり、薬局において医療用医薬品を適切に販売することが国民の身体・生命・健康の保護に必要である場合等 ペン

9.2 薬機法等制度改正に関するとりまとめ

令和7年1月 1 0 日

厚生科学審議 会

医薬品医療機器制度部会

(5)医薬品の販売区分及び販売方法の見直し

① 処方箋なしでの医療用医薬品の販売の原則禁止

○ 近年、処方箋なしでの医療用医薬品の販売を薬局営業の主たる目的として掲げるいわゆる零売薬局が増加し、本来診療が必要な疾病であっても、医師の診断を経ずに購入できると受け取れるような広告を行う等の事例も見られる。

処方箋医薬品以外の医療用医薬品については、処方箋なしでの販売は禁止されておらず、通知7。

により、要指導医薬品等の使用を考慮したにもかかわらずやむを得ず販売を行わざるを得ない場合に限るとされているにとどまる。

○ そのため、薬機法上、医療用医薬品については処方箋に基づく販売を原則とした上で、やむを得ない場合(①医師に処方され服用している医療用医薬品が不測の事態で患者の手元にない状況となり、かつ、診療を受けられない場合であって、一般用医薬品で代用できない場合または②社会情勢6 令和6年9月 30 日公表。

7 「薬局医薬品の取扱いについて」(平成 26 年3月 18 日薬食発 0318 第4号医薬食品局長通知)および「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」(令和4年8月5日薬生発 0805 第 23 号医薬・生活衛生局長通知)。

20 の影響による物流の停滞・混乱や疾病の急激な流行拡大に伴う需要の急増等により保健衛生が脅かされる事態となり、薬局において医療用医薬品を適切に販売することが国民の身体・生命・健康の保護に必要である場合等)にのみ薬局での販売を認めるべきである。

また、やむを得ない場合における販売方法については、原則としてかかりつけ薬局または当該患者の状況を把握している薬局が対応することとするとともに、数量は必要最小限度とし、販売する際には当該患者の薬歴の確認や販売状況等の記録を必要とすべきである。

○ なお、法改正事項以外の見直し事項については、「医薬品の販売制度に関する検討会」のとりまとめ8。

において、特殊事情があるものとして漢方薬・生薬について記載がなされており、これらについては現場での販売に支障を来たさないよう適切な形での対応がなされるべきである。

② 要指導医薬品に係るオンライン服薬指導方法の追加等

○ 要指導医薬品について、薬剤師の判断に基づき、オンライン服薬指導により必要な情報提供等を行った上で販売を可能とするとともに、医薬品の使用方法やリスクなどの特性を踏まえて適正使用のための必要事項等の確認について対面で行うことが適切である品目については、オンライン服薬指導による情報提供等のみにより販売可能な対象から除外できるようにすべきである。

厚生労働省 ○ また、医薬品の特性を踏まえて必要な場合には要指導医薬品から一般用医薬品に移行しないことを可能とするとともに、一般用医薬品への移行後も個別の品目についてリスク評価を行い、リスクの高い区分を含む適切な区分への移行を可能とすべきである。

○ なお、制度の運用に当たっては、オンライン服薬指導のみでの販売を不可とする例外の範囲や、要指導医薬品から一般用医薬品に移行しない場合の要件を明確化すべきである。

また、法改正事項以外の見直し事項については、「医薬品の販売制度に関する検討会」のとりまとめの内容に基づき必要な対応を進めるべきである。ペン


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10.薬局が国を提訴 2025/01/17(金)

処方箋が無くても“医薬品”を購入できる「零売れいばい薬局」への規制は「違憲」 “法改正”を目前に提訴に発令

1/17(金) 19:11配信・弁護士JPニュース

薬局が国を提訴













弁護団長の西浦弁護士(左)、原告の長澤氏(中)、山下氏(右)

●山下吉彦氏 = まゆみ薬局・福岡市
●長澤育弘氏 = 長澤薬品(株)・東京都豊島区
●箱石智史氏 = Grand Health(株)・東京都港区 Grand薬局 上野店

1月17日(金)、薬機法で規制されていない医療用医薬品を薬局で販売する「零売れいばい(れいばい)」が、法的根拠なく通達だけで規制されていることは違憲・違法であるとして、国に薬局の地位確認や損害賠償を請求する訴訟が提起された(東京地裁)。 東京地裁

10.1「零売れいばい」とは

医薬品は、基本的には医師の診察を受けたうえで処方される「医療用医薬品」および薬局の設備や器具を使って製造される「薬局製造販売医薬品」を合わせた「薬局医薬品」と、消費者が薬局やドラッグストアなどで自分で選んで買うことができる「一般用医薬品」および「要指導医薬品」を合わせた「OTC医薬品」に二分されます。

医薬品分類 そのうち、医療用医薬品は「処方箋医薬品」と「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」に分けられます。

処方箋医薬品については、薬機法(医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)49条1項により、薬局などの販売業者は医師などから処方箋の交付を受けた者以外に対しては正当な理由なく販売・授与してはならない、とされています。

一方で、処方箋医薬品以外の医療用医薬品に関しては、現時点では販売を規制する法律は存在しないです。

そして、医師による処方箋無しに、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を販売することは「零売れいばい」、零売れいばいを行う薬局は「零売れいばい薬局」と呼ばれます。

今回の訴訟の原告は、東京都豊島区の「長澤薬品株式会社」と港区の「Grand Health株式会社」、および福岡県福岡市の「まゆみ薬局株式会社」。いずれも、零売れいばい薬局の運営に携わっています。 ペン

10.2 法律ではなく「通達」による規制は違憲・無効と主張

厚労省

2014年、厚労省は「薬局医薬品の取扱いについて」との通達を出しました。

この通達は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても「処方箋に基づく薬剤の交付が原則」とし、また購入しにきた患者に必要であれば医師の受診を勧奨することを努力義務としました。

さらに、処方箋医薬品以外の医療用医薬品について一般人に広告することも禁止としています。

2022年には「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」との通達が出され、先の通達よりもさらに具体的に販売を規制したほか、受診勧奨を努力義務から義務に変更し、広告についても表現内容にふみ込んだ具体的な規制を行いました。

しかし、憲法上、国が国民の自由を制限するには、原則として、国民の代表として選ばれた議員らが集まる国会が定める法律によらなければならない(憲法41条参照)。

原告は、法律やその委任を受けた政令・省令等ではなく、行政内部の解釈基準にすぎない「通達」によって薬局および市民の自由や利益が侵害されており、また通達による諸規制は薬機法の趣旨を超えた制限であるから、通達は無効であると主張しています。

具体的には、処方箋医薬品以外の医療用医薬品販売の規制や受診勧奨の義務化などは零売れいばい薬局の経営を制限し「職業選択の自由」(憲法22条1項)に反し、広告の制限は「表現の自由」(憲法21条1項)に反する、というものです。

また、訴状では、零売れいばい薬局の規制によって処方箋医薬品以外の医療用医薬品が購入しづらくなることは、国民・市民の幸福追求権(憲法13条)や生存権(憲法25条1項)にも反すると指摘されています。 ペン

10.3 「卸値の差」と「広告の制限」を損害として請求

本訴訟の請求の趣旨は、原告には処方箋医薬品以外の医療用医薬品を医師の処方箋なく販売できること、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の広告を行えることや、広告の際に2022年の通達で規制された表現内容も使用できることについての地位確認。

また、原告各社に関して数十万円の支払いを求め、国家賠償も請求されています。

国内の医薬品卸取引の売上は、大手4社が90%を占めています。

医薬品おろし 医薬品おろし 医薬品おろし 医薬品おろし





しかし、厚労省の通達を理由に、大手4社は零売れいばい薬局との取引を断っています

厚労省 そのため、零売れいばい薬局は二次卸から医薬品を仕入れる場合が多いですが、仕入れ値は一次卸と取引できていた場合と比較して高額になります。

訴状では、仕入れ値は10%の増額と計算したうえで、実際の売上原価と一次卸を利用できていた場合に仮定される売上原価との差額を、損害として請求します。

また、広告規制が原因で生じた損害として、年間の売上総利益の10%も請求しています。 ペン

10.4 2025年1月24日(金)の国会では法規制が検討予定

提訴後の記者会見で、「長澤薬品」代表の長澤育弘氏と「まゆみ薬局」代表の山下吉彦氏は、通達が零売れいばい薬局の経営にもたらした影響を語りました。

長澤氏の薬局は、現在は零売れいばい薬局の経営を停止しています。

保健所 「営業していた当時には、週に2度、保健所の職員が来店し、客の目の前で棚卸しを始められるなどの嫌がらせを受けていた」(長澤氏)

また、多くの調剤薬局は医院やクリニックの付近で営業しており、実質的に医師と「タッグを組んだ」状態で経営されています。

しかし、大半の医師は零売れいばい薬局への協力を拒むといいます。

とくに2022年の通達以後、零売れいばい薬局は大幅に減少しました。

長澤氏によると全国で数十軒の零売れいばい薬局が倒産したとのことです。

「厚労省の通達を根拠とした、違法な行政指導のために、薬局がつぶされていった」(長澤氏)

1月24日(金)から始まる通常国会では、医薬品医療機器制度部会が取りまとめた薬機法の改正案が厚労省によって提出される予定です。

そして、この改正案には、零売れいばい薬局を規制する内容も含まれているということです。

「もし(通達ではなく)法律によって規制されたら、失業することになってしまう」(山下氏) ペン

10.5 零売れいばい薬局は市民の健康や社会保障費の抑制にも貢献

山下氏は、急に体調不良になった人が病院に並ばず医療用医薬品を購入できる零売れいばい薬局は市民の利益になっていると話します。

「診察料金や処方料金がかからないのでお金を節約でき、病院に並ばずに済むので時間の節約にもなります。

薬機法が改正されて零売れいばい薬局が営業できなくなると、地域の人々にも影響が生じます。

私たちは、地域のみなさまの健康を守るために、これからも努力を続けていきたい」(山下氏)

訴状では、零売れいばい薬局は「仕事と子育てとに日々追われ、時間がなく病院に行きにくいひとり親家庭の父母」や「さまざまな理由から健康保険証を現に持っていない生活困窮者や外国人」も医薬品が購入しやすくなるという点で、公益にも資すると指摘されています。

また、医師による処方のために、時期によってはインフルエンザなど感染症の患者が多数詰めかける病院の待合室に長時間滞在することは、受診者本人や乳幼児・高齢者などの付添人にとって感染リスクとなります。

そして長澤氏が強調したのは、零売れいばい薬局は政府が推奨する「セルフメディケーション(自主服薬)」に貢献し、さらに病院を介さないために社会保障費が一切発生しないという点です。

「(薬機法の改正は)患者さんのセルフメディケーションの機会を減少させ、軽度の症状でも医療機関を受診せざるを得なくなる可能性を高めます。

その結果、医療費のさらなる増加を招き、社会保障費の負担が一層重くなる」(長澤氏) ペン

10.6 市民が知る機会もないまま法規制が実現するおそれ

西浦善彦弁護士

弁護団長の西浦善彦弁護士は、広告規制などが原因で、市民が「処方箋医薬品以外の医療用医薬品なら病院に並ばなくても買える」という現行法上の事実や、零売れいばい薬局の存在を知ることもできないまま、法改正がなされようとしている問題を訴えました。

「みなさまの手元にある医薬品の多くは、処方箋がなくても買うことができます。

しかし、法改正がされたら、それを買うこともできなくなります。

この事実を(市民に)知ってもらうことも、訴訟の意義だ」(西浦弁護士)

なお、改正が予定されている法律について、本件のように改正に先行して訴訟が提起されるのは、異例とのことですね!。 ペン

10.7 【日本薬剤師会】“零売れいばい訴訟”にコメント

【2025.01.22配信】日本薬剤師会は1月22日に定例会見を開いた。

この中で記者から、いわゆる“零売れいばい”に関する訴訟が起きていることへの見解を求める質問が出た。

日薬会長 会見で記者からいわゆる零売れいばいを規制する通知に関して訴訟が起きていることについて見解を求める質問が出ると、日薬会長の岩月進氏は、「訴訟の内容を詳細に分析した訳ではないが法律に書いていない通知に基づく行政対応について訴訟を起こされているようだ。この判断については裁判に委ねるしかない」と述べた。

「訴訟を起こしたこと自体がけしからんとか、そういった感想は持っていない」と述べた。

一方、日薬の零売れいばいに対する見解は「訴訟あるなしで変わらない」とした。

通知については、「目の前で困っている患者さんに対してプロとしてどう対応するのか、わざわざ明記したものだと思っている」(岩月会長)との見方も示した。

また、岩月会長の地元である愛知県での事例を出し、「繰り返し大量に販売しており、これは通知の趣旨からは逸脱していると思わざるを得ない」とも述べた。

  裁判を提起した当事者については、「愛知県では零売れいばい(に特化した薬局)をやめられたところもある。

なぜ今回訴えられたのか詳細は分からないが、繰り返し販売できないから訴えたのか、、、詳細が分からないのでそれ以上コメントできない」とした。 ペン

10.8 零売の訴訟を巡って考えた通知や事務連絡の存在

熊谷 信=薬剤師 2025/02/10
熊谷 信=薬剤師 零売 訴訟

既に多くの方がご存じだと思いますが、去る2025年1月17日、医療用医薬品の販売(いわゆる零売)の規制を巡って、薬局が国を相手に訴訟を起こしました。

詳細は別記事に譲りますが、個人的に大きな関心を持っています。

零売については、以前から医薬品の販売制度に関する検討会等で議論されてはいるものの、結論ありきといった印象でした。

そして現在、その原則禁止を盛り込んだ医薬品医療機器等法(薬機法)改正案が検討されています。

訴訟についても、タイミングをはかってのものなのでしょう。

原告の主張として「零売の規制は憲法上の『職業選択の自由』や『表現の自由』を侵害し、国民の医薬品アクセスも阻害するもの」と憲法違反を訴えています。

零売の話が憲法に言及するとはちょっと飛躍しすぎでは……と考える人もいるかもしれません。

既知のことが多いかもしれませんが、薬局薬剤師の目線で少し整理してみました。

最上位、あるいは一番根っこの部分、表現は色々あると思いますが、そこに位置するのが憲法です。

憲法 そしてそれを受けて定められているのが法律ですね。

当たり前の話ですが、憲法に直接「零売を禁止する」という文言があるわけではなく、そしてその零売を制限する法律もありません。

法体系について詳しいわけではないのですが、法律の下にもう少し具体的な政令(施行令)、省令(施行規則)があります。

いずれも上位の憲法や法律に反することはできないとされていますが、その辺りは専門家でなくても感覚的に受け入れられるものですよね。

ではこの零売の制限についてはこれまで、どこに定められていたかというと、さらにその下位に位置する通知で規定されています。

局長通知や課長通知など、調剤報酬改定の際にも聞かれるものですが、行政が発出するもので、罰則がありません。

零売に関する行政から発出された文書としては、「処方せん医薬品等の取扱いについて」(2005年3月30日薬食発第0330016号)、「薬局医薬品の取扱いについて」(2014年3月18日薬食発0318第4号)、「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」(2022年8月5日薬生発0805第23号)などがあります。

もちろん、罰則がないから守らなくていいというものではありませんが、その一方で、行政から出される通知が、上位に位置する憲法や法律から逸脱していないとは言い切れません。

今回の訴訟の争点はその辺りにあるのでしょう。

零売に限らずの話ですが、私たちの仕事は法律ではなく、こうした通知や事務連絡などで規定されているケースも少なくありません。

ただその辺り、実はあまり意識されておらず、「決められていることだから」とただ従ってしまうことも多いのではないかと思います。

私たちは普段から、自分たちの仕事は何を根拠に規定されているのか、もう少し意識をした方が良いのかもしれません。

局長通知、事務連絡が下位に位置するものだから軽んじていいということを言いたいのではありません。

それが出された背景や本当にそれが法律の委託を受けたものなのか吟味が必要ですし、もっと言えばそれが特定の人の利益になったり、国民の不利益にならないかといった視点が必要でしょう。

行政の言うことが全て正しいわけではありませんし、時には民意とかけ離れたり間違えたりすることだってあるでしょう。

特定の人の意向でゆがめられたり、行政が過剰に規制をすることはあってはならないことです。

やや大げさですが、薬剤師免許は国から与えられたものなのだから、国の意向に全面的に従うのが正解なのでしょうか?。

そうではなく、法律や通知をきちんとチェックしてこその免許であり、専門職でしょう。

この零売訴訟、時間がかかるでしょうが、行方(ゆくえ)について注視していきたいと思います。 ペン


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11.【独自取材】理不尽な「迫害」の行方

迫害 2025-02-09
にいがた経済新聞 ピックアップ 社会 行政

【独自取材】「処方箋なしで医薬品が買える」薬局が医学界と厚労省から受ける、理不尽な「迫害」の行方

11.1 新潟発「薬の零売れいばい」というビジネスモデル

「処方箋なしで病院の薬が買える」

そんな看板が掲げられている薬局が、新潟市中央区米山にある。

薬局アットマーク 薬剤師の荒居英郎さんが2001年に開業した「薬局アットマーク」。

看板の通り、抗がん剤、注射剤、抗精神薬、抗生物質の飲み薬など法律で「処方せん医薬品」に指定されているもの以外の医薬品、風邪薬や胃薬、湿布薬などを医師の処方せんなしで販売している。

ここで薬を買う人は、ちゃんと薬局の趣旨を理解し、納得したうえで購入している。

そのため薬を買うには会費500円を払って会員になる必要がある。それを差し引いても、使う側にとっては非常に重宝する薬局である。

新潟市米山の薬局アットマーク。病院にいかなくても病院の薬が買える薬局

多くの人は「医療用医薬品」というのは、しかるべき医師から出される処方箋によらない限り、提供されないと思っているのではないか。

それは一部正しく、一部間違いだ。

残りの3分の1 現行の医薬品医療機器等法(以下薬機法)では、処方箋を必要とする「処方箋薬」は、医療用医薬品全体のおよそ3分の2でしかないのだという。

残りの3分の1(約7,000品目が該当する)は「非処方箋薬」なのだという。

法律に縛られない「非処方箋薬」の中には、風邪薬や解熱鎮痛剤、点眼薬、湿布薬、漢方薬など数多くが含まれている。

これらは薬剤師がいて、対面で販売されるなら処方箋なしで売っても良い薬なのだ。

薬品営業並薬品取扱規則 処方箋なしで医療用医薬品を売る商法「零売れいばい(れいばい)」は、1889年(明治22)に薬品営業並薬品取扱規則が施行された時に既に存在したとされ、1960年に薬事法が施行された時点では全体の約7割が「要支持医薬品以外の医薬品」とされ、主に薬剤師会の役員や会員が経営する個人薬局で「こっそり」売られていたのだという。

ある種の立場の者だけが有する特権のように「零売れいばい」は行われてきた。

法律の「抜け道」がそこにあったということだ。

「抜け道」ではあるが「もぐり」ではない。2001年当時の荒居さんは、ここに着目し、日本で初めて「零売れいばい」を主たる業務とする薬局を開局した。非常に画期的な事象だった。

健康保険が適用されない「零売れいばい」は、一般的な処方箋薬局より割高な場合も当然ある。一方で薬局で売られる一般用医薬品(OTC薬)よりは割安なケースが多い。

なにより人々にとって「病院に行かなくても良い」メリットは計り知れないと思わないだろうか。

診察費用がかからないというのはもちろん。病院にかかれば、院内感染におびえながら順番が来るまで長い時間待たされ、ようやく診てもらったと思ったら、たいした処置もなく「今日はお薬出しておきますから」というケースも少なくない。

正直「風邪ぐすり」や「湿布」を入手するためにこんな想いはしたくない、というのが多くの意見ではなかろうか。

少し前までのコロナ禍などは、まさに病院に行きたくなかったし、病院側も人を入れたくなかったという状況だったはずだ。

なかには、どうしても医者に手を握ってもらいながら「大丈夫だよ、薬出しておくからね」と言われてはじめて安心する高齢者もいる。

そうした人たちの「社交場」としてあり続ける病院も存在する。

そうした中で、ご存じの通り国の医療費は膨張を続ける一方。先の総選挙の際、新潟入りした日本維新の会の吉村洋文大阪府知事は「膨らむ医療費の、せめて10分の1でも教育に回してもらえば、全国の国立大学無償化も実現できる」と訴えていた。

聞いていて「薬局アットマーク」のことを思い出した。薬の零売れいばいが社会に定着したならば、医療費の10%程度が削られるのではないか、と。

「処方箋なしに医薬品を売るのは危険なのではないか」という意見も当然ある。

ただ法律で「処方箋なしで良い」と定められていて、病院や調剤薬局でも同じものを売る、それが危険だという理屈は果たして通るだろうか。

「どうしても信用できない」という人は、混雑した病院で順番待ちをして薬をもらってくれば良いだけだし、それくらい利用者に選択の余地があっても良いのではないか。

薬局アットマークでは、丁寧な服薬指導をするし、会員制の採用によって売る側と使う側の「暗黙の了解」が担保される。

安心か安心じゃないかは個人の判断だし、安全か安全じゃないかと問われればそれは法の範囲で言えば「安全」なのである。

現在、処方箋なしで医薬品を売る薬局は、全国に100ほどある。

新潟で生まれた画期的なビジネスモデルは、2015年ごろに東京都三鷹市に「オオギ薬局」が開局したあたりから増え始めた。

2019年に株式会社GOOD AIDが零売れいばい薬局の東京都内でチェーン展開をはじめ、同社の代表が「日本零売れいばい薬局協会」(2024年に解散)を設立した頃に、当局や医師会からバッシングが苛烈化してきた。

新潟では薬局アットマーク1店のみ。同店の系列も2号店もない。荒居さんに「2号店を出す気はなかったのか?」と聞くと「あまり目立ちたくないから、その気は一切なかった」と言う。

零売れいばいの形態が「あくまで抜け道である」ことは否定しない。

そう、平成~令和の零売れいばい薬局の歩みは、医学界、薬剤師界、厚労省などから睨まれ、迫害される歴史の繰り返しだったのだ。

11.2 国会でも議論の的に

法律を逆手にとって利得する(実際はそれほど儲からないという)ところあれば、法律の庇護で既得権益にあずかる立場もある。

そういう立場にとって、零売れいばいの存在は面白くない。

ドラッグストア 例えばドラッグストアなど「正規ルート」の業界は、当然面白くないはずだ。

また「特権」を侵された薬剤師界も面白くないだろう。

病院離れにつながる存在なのは確かで、医学界も当然憤懣を持つ。

そしてそれらを統括する厚生労働省も。

日本医師会 荒居さんが新潟に零売れいばい薬局を開業した直後の2002年、日本医師会が厚労省の薬事法改正案に「医薬品の分類見直し」の追加(医療用医薬品は消毒薬等を除きすべて医師等の処分や支持が必要な「処方箋医薬品」に変更するという内容)を迫り、これが採用され、参議院で可決された。

事実上の「零売れいばいつぶし」だが、衆議院厚生労働委員会でこれに待ったがかかる。

改正薬事法での分類見直しの背景に関係団体からの働き掛けがあったことが指摘され、問題とされたのだ。

結果、改正薬事法では医療用医薬品全体の約6割を「処方箋医薬品」とし、それ以外を事実上の「零売れいばい可能」と位置付けられたのだ。

新潟で生まれた「国の医療費削減のカギを握るかもしれない」新しいビジネスモデル、たった1軒の薬局の存在が、国会を大いに揺るがしたのだった。

2005年には改正薬事法施行となったが、このタイミングで厚労省通知「処方せん医薬品の取り扱いについて」が発出され、その中には「天災などのやむを得ない場合を除き、それ以外の医薬品を処方せん調剤以外の方法で販売してはならない」とあった。

一方で通知はあくまで法規制の効力はなく、零売れいばい薬局のスタイルは全国に伝播していった。

2014年には現行の薬機法施行となったが、当然、零売れいばいに関する条文はほぼ変更なし。

厚労省では2005年と同じ内容の通知「薬局医薬品の取り扱いについて」を出してけん制する以上はできなかった。

荒居英郎 2001年、日本で初めて「零売れいばい」の薬局を立ち上げた荒居英郎さん

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11.3 ついに法規制で締め出しか

国会議事堂

2021年、日本眼科医師会が、零売れいばい薬局でステロイド点眼剤が販売されていることを問題視し、自民党を中心とした国会議員や厚労省などに対し声を上げ始めた。

医師会と自民党の関係性については、巷間言われるとおりである。

厚労省もこの動きに沿って、2023年2月に日本医師会や薬剤師会の役員、有識者で構成された「医薬品の販売制度に関する検討委員会」を立ち上げ、医薬品の分類見直し(実質の零売れいばいつぶし)を議論することとなった。

そして2024年、同検討会が取りまとめ案を作成し、これまで「厚労省通知」とされてきた零売れいばい規制案とほぼ同じ内容を改正薬機法案として提出することを決定した。

零売れいばい憎し」とする既得権益にあずかる面々で構成された会によって法案はまれた。

このまま法案が国会を通過すれば、零売れいばい薬局は「非処方せん薬品」を売ることができなくなり、その業態自体が消滅する。

この動きを受け、2025年1月17日には零売れいばい薬局を運営する3者が原告となり、「零売れいばいの法的規制は憲法第22条の職業選択の自由の侵害である」という趣旨の地位確認等請求訴訟を起こした。

ここまで「零売れいばいつぶし」は粛々と進められており、手をこまねいていては多くの国民が注目しない中で国会を通過してしまう可能性が高い。

大衆の目を引くためにも、せめてもの問題提起をしたい気持ちは理解できる。

零売れいばい側にとって、旗色は決して良くない。

零売潰し 1月27日に開かれた自民党厚生労働部会では、法案がすんなり通過したという(ある種、予想通りだ)。

法案の概要欄には医薬品の分類見直しなどについて一切触れられていないが、中身を見ると医療用医薬品について「処方箋に基づく販売を原則とし、やむを得ない場合にのみ薬局での販売を認める」とうたわれている。

これはかつての厚労省通知とほぼ同じ内容だ!。

「岩盤」というものはこのように形成されていくのか、というのをまざまざと見せつけられた思いだ。

(文・写真 伊藤 直樹) ペン


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12.「零売つぶし」への対応

12.1 処方箋薬以外はOTC薬に-零売規制が「存立根拠喪失」

日本総合研究所の基本情報

日本総合研究所(にほんそうごうけんきゅうじょ)は、1997年に設立されたコンサルティングおよびシステム開発のエキスパート機関で、三井住友銀行グループに属しています。

公共政策から民間企業、公的機関に至るまで、多様な領域に向けて戦略的な研究と提案を行い、社会のニーズに応えることを目的としています。

【日本総研 成瀬氏】処方箋薬以外はOTC薬に-零売規制が「存立根拠喪失」

2025年02月10日 AM11:40

成瀬道紀 日本総研調査部主任研究員の成瀬道紀氏は5日、薬局が処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売」について、厚生労働省の通知による「規制内容そのものが存立根拠を失っている」と批判し、国が取るべき施策として「医療用医薬品の区分を廃止して処方箋医薬品以外はOTC医薬品にする」よう提言した。

薬剤師が非処方箋医薬品をOTC薬として堂々と販売できるようにすることで、一層の職能発揮、医療保険財政の改善につながると強調した。

成瀬氏は、「医薬品『零売』規制の妥当性を問う」と題した見解で、零売について「通知行政である点でも問題だが、規制内容そのものが今や存立根拠を失っている」と指摘。

厚労省の通知では、非処方箋医薬品についても処方箋に基づく販売を原則としている。

その根拠として、「医療用医薬品のパッケージ、容量、添付文書等は医師・薬剤師など医療者が見るために作られ、一般人が適切に使用するための十分な情報が分かりやすく提示されていない」としている。

これに対し、成瀬氏は「医師のみが医療の担い手であるという発想であり、こうした根拠は全く妥当性を欠く」と指摘。

「6年制薬学教育となって約20年経過するため、薬剤師が医療の担い手であるのは明らかで、薬剤師が処方箋なしで医薬品を販売することが医療ではないとの発想は時代錯誤」と厳しく批判した。

また、処方箋調剤、零売共に、薬剤師が医薬品に関する患者への説明や指導の中心となることに変わりないとし、添付文書等は医療者が見るために作られるため処方箋が必要という根拠は実態を踏まえていないと指弾した。 これらを踏まえ、零売に関して取るべき施策として、薬剤師の職能を尊重するよう求めた。

医師の処方箋通りに黙々と調剤する業務は機械化を進めるだけとし、薬剤師を薬物療法に関する高度な専門性を持つ医療の担い手として認め、医師との連携や役割分担を進めるべきとした。

さらに、医療用医薬品の区分を廃止し、処方箋医薬品以外はOTC薬とする諸外国と同様のシンプルな制度に切り替え、非処方箋医薬品をOTC薬として薬剤師が堂々と販売できるようにすることを求めた。

その場合は、公的医療保険の給付対象外とすることを原則にすることを提案した。

患者の自己負担は増加するものの、非処方箋医薬品の多くが軽症疾患に用いられ価格も低いとして、セルフメディケーションが推進され患者の利便性が高まり、医療保険財政の改善が期待されるとした。

患者は、重症化が懸念される場合など、診察が必要な場合だけ受診するようになることも利点に挙げた。 ペン

12.2 楽天三木谷会長、オーバードーズ問題めぐる市販薬のネット販売規制強化に反対「時代に逆行」

楽天の代表取締役会長兼社長最高執行役員、三木谷浩史氏(59)が12日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。

三木谷浩史 市販薬のネット販売に対する規制に私見をつづった。

若年層を中心に薬の過剰摂取「オーバードーズ」がまん延して社会問題化している。

そうした中、三木谷氏は24年12月、市販薬のネット販売にビデオ通話を義務付ける厚生労働省の案の撤回を求めるオンライン署名活動を実施していた。

今回の投稿で「風邪薬などのオーバードーズの問題、殆どの問題は対面販売なのに対面販売は規制せずネット販売だけ規制強化すると報告を受けた」とあらためて言及。

「規制改革どころか時代に逆行した規制強化が進んでいる。

ライドシェアも進まない。特に公明党さんが規制緩和に前向きでないと聞いている。残念」とつづった。 ペン


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13.2025/2/14 薬機法改正案(零売について)

零売れいばい原則禁止、違反でも「懲役・罰金」はなし  薬機法改正案

2025/2/14(金) 10:18

第217通常国会が2025年1月24日(金)に召集されました。 国会議事堂 厚生労働省は、予算関連法案の医薬品医療機器等法に加え、カスタマーハラスメントの防止や治療と仕事の両立支援などを盛り込んだ労働施策総合推進法(パワハラ防止法)や地域医療構想の見直しを含む医療法など、計6本の改正法案を提出する予定だ。

少数与党の自民・公明が野党の理解を得て、成立させることができるかが注目される。

いわゆる零売れいばいの規制強化に関連し、政府が閣議決定した医薬品医療機器等法(薬機法)改正案では、全ての医療用医薬品を原則「処方箋の交付を受けて使用すべき医薬品」と規定した。

現行法で規定される処方箋医薬品を除き、「やむを得ない場合」には処方箋なしでの薬局販売を認める

違反した場合でも、処方箋薬のように懲役・罰金を科す罰則は設けないが、法に基づく立ち入り検査などが可能となる。

13.1 医療用薬は「原則処方箋必須」、法令上明記

これまで省令で規定されていた医療用医薬品と同等の枠組みを「処方箋の交付を受けて使用すべきものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」として薬機法上に明記した。

処方箋 この中には同法49条で規定する処方箋薬も含まれる。

正当な理由がある場合を除き、処方箋薬の販売は処方箋が必須となるが、それ以外の医療用薬については処方箋がなくても省令で定める「やむを得ない場合」には零売れいばいを認める。

やむを得ない場合として厚生労働省はこれまでに、服用中の医療用薬が不測の事態で患者の手元にない状況で、かつ診療を受けられず、一般用医薬品で代用できないケースなどを例示している。

処方箋薬は、正当な理由なく処方箋なしで販売すると「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科」となる罰則がある。

一方、それ以外の医療用薬については、正当な理由なく、やむを得ない場合以外に処方箋なしで販売した場合にも罰則は設けない。

ただ、法律に基づき、薬局に対して行政が立ち入り検査を行うことができるようになるほか、保健衛生上の被害などが発生した場合は業務改善命令につながる可能性もある。
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13.2 施行は「公布後2年以内」

零売れいばいに関する改正事項については、改正法の公布後「2年以内」に施行する方針。

改正法案はすでに国会に提出されており、今通常国会(会期は6月22日までの150日間)での成立を目指す。

公布は成立後30日以内とされている。

行政訴訟 零売れいばい規制を巡っては、薬局3社が零売れいばいを規制してきた厚労省の通知には法的根拠はないとし、自由に零売れいばいができる地位の確認などを求める行政訴訟を提起。

薬機法改正案が可決、施行された場合には追加訴訟を起こす方針も示している。   【PHARMACY NEWSBREAK】 ペン





ハル薬局

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「病気が治ると笑顔に戻ります。そして、その家族が笑顔になります。」…ハル薬局の願いです。
「幸福だから笑うのではなく、笑うから幸福なのです。」笑顔を大切に…by 黒柳徹子、「笑門来福」
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