手首の脈をとる脈診の解説です。脈診とは、人差し指、中指、薬指の3つの指端をもって、病人の脈拍に触れ、その脈象を弁別し、望、聞、問の三診と結合させ
疾病の陰陽表裏、寒熱虚実を診断することです。 |
実虚 | 証 | 脈の形態 | 脈象 | 寒証が加わると | 熱証が加わると |
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虚証 (脈が虚弱) |
気虚 | 力のない弱い打ち方 | 虚脈 | 脈は遅く、沈(指を強く押しつけないと感じられない打ち方)になります。 | 速く打つ頻脈になります。 |
血虚 | 細い感じのする打ち方 | 細脈 | |||
実証 (脈が有力) |
気滞 | 弓の弦を弾くような打ち方 | 弦脈 | ||
血オ | 血の流れが滞っているような 感じがする打ち方 |
渋脈 | |||
痰湿 | なめらかに打っている | 滑脈 |
脈診は手指の先端で患者の脈拍を触取するもので、僥骨動脈の拍動部を寸・関・尺の三部に分けて、左右両腕で全部で六脈があり、それぞれに臓腑があります。
寸・関・尺の手の図
脈綱 | 脈名 | 至数 | 力の強さ | 形態 | 臨床 | 備考 |
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浮脈類 | 浮脈(ふみゃく) | 浮取では力があり、中取・沈取すると弱くなります。 | 来る脈が皮膚の表面に浮き、軽く押えると指下に感じます。 | 表証。有力は表実証、無力は表虚証です。 | 慢性病・大出血などで見られれば、重篤です。 | |
洪脈(こうみゃく) | 来る脈が大きく、指下に満ち、来るときは盛大で去るときはやや衰えます。 | 実脈と大脈の合わさったものです。来盛去衰。 | 裏実熱。邪気の高ぶりに見られます。 | |||
濡脈(なんみゃく) | やや弱い。来る脈はきわめて細く、きわめて柔らかくて浮き、軽く取ってすぐに得られ、重く押さえると得られません。 | 浮・軟・細のものです。 | 気血不足・湿証。虚証。 | |||
散脈(さんみゃく) | 弱い。来る脈は浮いて乱れ、しかも散っています。中くらいに取ると空に近く、重くとると感じられません。 | 浮大で、中取・沈取ともに空虚です。 | 心腎陽虚・亡陽。腎気衰敗証。 | |||
孔脈(こうみゃく) | 弱い。脈形はねぎの芯のようで、浅くあるいは深く、両側でうかがうと両側ともに得られます。中程度でうかがうと空虚です。 | 浮大で、中取で空虚、沈取でやや触れる、葱の管をおさえるような感じです。 | 失血・津液の消耗。大失血症に見られます、例えば吐血、鼻血、崩漏などの病です。 | |||
革脈(かくみゃく) | 膨らみ、急で、鼓膜を按ずるようです。 | 浮取で弦硬、沈取すると中空です。 | 気虚・腎精不足。表寒極盛の証、精血虚寒証。 | 孔脈とほぼ同じです。 | ||
沈脈類 | 沈脈(ちんみゃく) | 浮取・中取では触れず、沈取して初めて触れます。。 | 来る脈が筋骨間に沈行し、重く当ててはじめて顕著となり、軽く当てたのでは感じられません。 | 裏証。有力は裏実証、無力は裏虚証です。 | 寒証・肝気欝結・気滞血オでも見られることがあります。 | |
伏脈(ふくみゃく) | 脈象は隠伏し、筋を骨に届くくらいに押すと、はじめてその形が得られます。 | 沈脈よりもさらに沈です。 | 激痛・邪盛・亡陽。邪閉・厥証。 | |||
牢脈(ろうみゃく) | 沈取で有力です。来る脈は大きく弦実です。 | 浮・中取で触れず、沈取で弦・大・長のものです。 | 頑固な疾病です。積聚証。 | 沈弦・沈実といいます。 | ||
弱脈(じゃくみゃく) | 無力です。来る脈は細くて小さくて沈みます。重く押さえると得られ、軽く押さえると感じられません。 | 沈・軟・細のものです。 | 陽気不足。気血不足証。 | |||
遅脈類 | 遅脈(ちみゃく) | 一息に3至以下、1分間50前後(60以下)です。 | 来る脈が緩慢です。 | 寒証(実寒・虚寒)。有力な脈は冷積証、無力な脈は虚寒証です。 | ||
緩脈(かんみゃく) | 一息に3至以上4至以下、1分間50〜60 | やや無力です。 | 大でも細でもないです。来る脈はゆるやかで調和がとれています。 | 実熱あるいは虚熱です。 | 一般に平脈をあらわします。 | |
渋脈(じゅうみゃく) | 来る脈が難渋です。 | 脈拍が滑らかでなく、小刀で竹を削るように触れます。 | 血虚・血オ・気滞・精傷証。 | |||
結脈(けつみゃく) | 脈が緩慢で、時には止まります。 | 来る脈が遅くゆるゆるして、時に止まるのが見られます。 | 陰盛気結証 | |||
数脈類 | 数脈(さくみゃく) | 一息に6至以上、1分間90以上です。 | 来る脈が急速です。 | 熱証(実熱・虚熱)。有力は実熱証、無力は虚熱証です。 | 気虚・陽虚でも見られることがあります。 | |
促脈(そくみゃく) | 一息6至以上、1分間90以上 | 来る脈が急促し、時には止まることがあります。 | 脈拍が不規則に欠落します。 | 実熱に気滞・血オ・痰飲を伴います。陽盛実熱証・気滞オ血証。 | ||
疾脈(しつみゃく) | 一息に7〜8至 | 来る脈が疾急で、脈形は非常に躁急です。 | 陽極陰竭証、病症重篤。 | |||
動脈(どうみゃく) | 一息6至以上、1分間90以上 | 有力。動脈は、関上に見られます。 | 滑・数・短のもので、豆のような形です。 | 疼痛・高熱・妊娠・驚きなどです。 | ||
虚脈類 | 虚脈(きょみゃく) | 無力です。浮取で触れ、強くおさえるほど減弱します。 | 脈形が大です。来る脈が浮いて遅軟で,脈を尋ね当てられないです。 | 虚証。多くは気血両虚。 | 各種の無力な脈の総称です。 | |
細脈(小脈)(さいみゃく) | 軟らかいです。 | 脈形が細い。来る脈は糸のように細くて柔らかい、しかし、微脈に比べればはっきりしています。 | 気血不足・陰陽両虚。気血虚証。 | 血虚・陰虚が多いです。 | ||
微脈(びみゃく) | 不明 | 非常に弱いです。来る脈がはっきりせず、きわめて細く、きわめて柔らかく、あるようでないようで絶えそうで絶えないです。. | 非常に細く、あるかないかはっきりしないです。 | 陽虚。亡陽の証に見られます。常に腎陽気衰弱および急脱(ショック)の病人に見られます。 | ||
代脈(たいみゃく) | 定数なし。 | 脈は慢弱。時には止まります。 | 脈拍が規則的に欠落します。 | 心気虚。臓気衰弱証。 | ||
短脈(たんみゃく) | 来る脈は短くて渋って小さく、初めと終りは無に近く中間で突起し本来の部位に届かないです。 | 脈形が短いです。 | 気血不足・痰・気滞。元気虚衰。 | |||
実脈類 | 実脈(じつみゃく) | 有力です。浮・中・沈取すべて充実です。 | 来る脈が充実して力があり、長大で堅実です。 | 実証 | 各種の有力な脈の総称です。 | |
滑脈(かつみゃく) | 脈形の往来が流れるようで円滑です。 | 去来が早く、なめらかで盆に珠をころがすように触れます。 | 痰飲・食積・実熱。 | 妊娠時にも見られます。 | ||
緊脈(きんみゃく) | 一息6至以上、1分間90以上です。 | 有力。来る脈が緊張し力があります。 | 弦・数・有力なもので、脈が左右にゆれる感じがします。 | 寒証・疼痛。宿食。 | ||
長脈(ちょうみゃく) | 来る脈がきわめて長く、直上直下し、本来の部位を過ぎます。 | 脈形が長いです。 | 熱証。実証。陽気有余。 | 長脈だけのときは正常です。 | ||
弦脈(げんみゃく) | やや有力のことが多いです。来る脈は大きくて弦(弓のつる)で急、浮取するとすぐ感じられるが、押えると空であり、鼓の皮を押えるときのように、外が強く中が空です。 | 脈形が長くまっすぐで、琴の弦をおさえるように触れます。 | 肝胆の疾病・疼痛・痰飲。 |
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