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ドラックストアの調剤
はじめに
医者から処方された薬を調剤できるかどうかが違う
「薬局」と「薬店」と「ドラッグストア」では、医者から処方された薬を調剤できるかどうかが違います。
まず、「薬局」は基本的には医者から処方された薬を調剤するための場所です。
一方、「薬店」は医者から処方された薬を調剤できず、一般医薬品や日用品だけを売っています。
また、「ドラッグストア」は医者から処方された薬を調剤できる店舗(調剤併設ドラッグストア)と、できない店舗に分かれます。できる店舗の場合は、日用品や一般医薬品まで売っている場合もあります。
最近の薬局数推移
2020年(令和2年): 60,9512021年(令和3年): 61,791
2022年(令和4年): 62,375
2023年(令和5年): 不明
薬局数が多い各国の件数
●ドイツ :20,000●フランス:22,000
●アメリカ:60,000
●ブラジル:78,000
ウエルシアとアマゾン
ウエルシアがアマゾンとタッグを組んでオンラインによる処方薬の販売を開始…ドラッグストアのさらなる淘汰と再編の契機となるか?イオン系列でドラッグストアチェーン業界トップのウエルシアホールディングスが、7月23日にオンラインによる処方薬の販売を開始した。
Webで服薬指導を行って処方薬を配送するもので、1920店舗に導入が完了している。
ウエルシアの強みをフル活用できる先駆的な試みだが、その裏には同社の焦りも透けて見える。
小規模調剤薬局の脅威となるオンライン販売
展開するサービスは「Amazonファーマシー」だ。利用者のアマゾンアカウントから、登録されている薬局で薬剤師がオンライン服薬指導を行う。
その後、処方薬を自宅や所定の住所に配送するというもの。利用者は医療機関で取得した電子処方箋の内容をアップロードし、薬局を選択する。
新型コロナウイルス感染拡大以降、薬局は電子化に向けて大きく変化していた。
オンライン調剤はドラッグストア業界に大変革を起こす起爆剤になると見られていたが、ついに現実のものとなった。
利用者は自宅にいながら必要な薬が手に入るため、薬局への行き来の時間や待ち時間を削減できる。
電子カルテ等でリアルタイムの処方・調剤情報の閲覧が可能になり、同じ薬の重複処方などを防ぎやすくなると見られているなど、各方面へのメリットは大きい。
しかし、個人経営の薬局や病院の前にある門前薬局にとっては脅威になる可能性がある。実は薬局の調剤基本料はタイプによって異なるのだ。
個人経営の薬局は45点、門前薬局が29点だ。ドラッグストアチェーンは処方箋受付回数などによって点数が異なるが、19点・24点・35点など、それぞれ設定されている。
1点は10円として計算されるため、同じ薬であっても個人経営の薬局は調剤基本料が450円、ドラッグストアは安いところで190円。高くても350円だ。これは医療格差が生じないよう配慮したもの。
人口の多い都心部に住む薬局だけが稼げるようになることを防ぎ、集落などに暮らす人々の健康を保つため、かかりつけ薬局の収益性を確保しようという狙いがある。
こうしてオンラインによる処方薬の販売が普及すると、調剤基本料金の設定によって守られていた個人経営の薬局や門前薬局は価格面で不利になるのだ。
調剤薬局の淘汰はすでに進んでいる。東京商工リサーチによると、2022年度の薬局の倒産件数は15件(「2022年度(4-3月)の「調剤薬局の倒産動向」調査」)。
2021年の23件と比べると減少しているものの、依然として高水準で推移している。大手薬局との競争激化で販売不振が深刻化する一方だ。
仮に小規模事業者がアマゾンと提携してオンライン販売に参入したとしても、今の枠組みでは利便性と天秤にかけても価格面で不利な状況に変化はない。ウエルシアのような大手にとっては、またとないチャンスなのである。
他業界の市場を奪うドラッグストアの脅威
他業界の市場を奪うドラッグストアの脅威。ドラッグストア業界の過当競争は苛烈そのものだ。
日本チェーンドラッグストア協会によると、2023年度のドラッグストアチェーンの全国総売上高は前年度比5.6%増の9兆2022億円だった。コロナ前の2019年度は7兆円台。小売業界の中でも成長スピードが速い業界の一つなのである。
しかし、2023年の店舗数は2万3041。この数は全国に存在するスーパーマーケットとほぼ同じ数だ。ドラッグストアは食品や生活必需品の充実を図り、価格のお得感を打ち出してスーパーやコンビニの市場を奪いとって成長してきた。
それが成長の原動力になっていたともいえる。しかし、そのビジネス環境にも変化が生じている。
コロナ禍を経てドラッグストアチェーンの出店意欲が旺盛になっているのだ。2019年度の総売上高は前年比5.7%、店舗は2.0%それぞれ増加していた。2023年度は総売上高が5.6%、店舗は4.3%増えていた。
この状況が続くと、将来的に競合同士の顧客の食い合いが起こってもおかしくない。
ウエルシアはM&Aによって規模を拡大、過度な出店攻勢による疲弊戦を回避してきた。今年2月にも業界3位のツルハホールディングスと経営統合で協議を開催することに同意。資本業務提携契約を締結し、2027年12月31日の最終合意を目指している。
経営統合が実現すれば、売上高2兆円規模の小売チェーンが誕生することになる。
ウエルシアの3つのネガティブ要因とは?
ウエルシアは業界トップだが、決して順風満帆な会社ではない。
懸念点は3つ。1つは足元の業績が軟調なこと。もう1つは最大のライバルであるマツキヨココカラ&カンパニーに収益面で劣ること。
そして、安さを武器にしたコスモス薬品がウエルシア地盤の関東エリアで勢力を伸ばしていることだ。
ウエルシアの2024年2月期の売上高は前期比6.4%増の1兆2173億円、営業利益は同5.3%減の432億円だった。
マスクや検査キットなど、コロナ関連のグッズの反動減を受けて減益だったと説明していた。
こうした状況の中で、ウエルシアは2025年2月期上半期の営業利益を、前年同期間比7.9%増の267億円と予想している。第1四半期の数字は、予想の到達を揺るがしかねないものだ。
さらに競合のマツキヨココカラとは、収益性で大きな差をつけられている。ウエルシアの直近通期営業利益率は3.6%、マツキヨココカラは7.4%だ。
ウエルシアは郊外型の店舗に強みがあるため、総利益率が40%近い調剤部門を強化し、食品(総利益率約20%)や雑貨(同30%)をフックに集客するというビジネスモデルだ。
一方、マツキヨココカラは都市型がメイン。医薬品(同40%)と化粧品(同35%)が中心となっているために利益率が高いのだ。
成熟した業界で革新的なビジネスを展開するコスモス薬品
8月5日の時点で、マツキヨココカラの時価総額は8000億円を超えているが、ウエルシアは4000億円に届いていない。
この時価総額を軸に2社を比較することがあるが、それはあまり意味をなさない。
時価総額はマツキヨココカラのように純資産に厚みがあり、自己資本比率が70%と高い会社であれば、必然的に大きくなりがちだ。
それを裏付ける便利な指標が、株価と純資産の比率を示すPBRだ。
株価を1株当たりの純資産で除して求めるもので、特定の株価が割安か割高か判断するのに使われる。
ウエルシアもマツキヨココカラも1.6倍程度で、大きな差はない。
マツキヨココカラは営業利益率が高い割に、投資家からはウエルシアと同等だと評価されていると見ることもできるのだ。
しかし、ウエルシアとほぼ変わらない利益率であるにも関わらず、PBRが2.3倍と高評価の会社がある。コスモス薬品だ。
福岡県にあるコスモス薬品。コスモス薬品は徹底的な低価格路線を打ち出し、業界の勢力図を塗り替えている存在だ。
2024年5月期は139店舗を出店。もともと九州に強みを持っていたが、関東エリアに50店舗を新規出店した。
関東の合計店舗数は148になった。さらに、コスモス薬品は食品の比率が6割程度と高く、2割のウエルシアとはビジネスモデルが大きく異なる。
コスモス薬品はスーパーなどの食品販売市場を奪って成長しているのだ。
PBRが高いということは、投資家から成長余地がまだまだあると見られているのだろう。
今後、調剤部門を強化していたウエルシアは、オンラインによる処方薬の販売で競合他社にサービス面で差をつけられるのは間違いない。
オンライン化の普及に伴ってじわじわと効いてくるだろう。
「病気が治ると笑顔に戻ります。そして、その家族が笑顔になります。」…ハル薬局の願いです。
「幸福だから笑うのではなく、笑うから幸福なのです。」笑顔を大切に…by 黒柳徹子、「笑門来福」